番組中で表示される各出演者の肩書き
橋下徹:大阪府知事。弁護士・タレント。“子どもが笑う大阪”で183万票を獲得し全国最年少の知事に。
平松邦夫:大阪市長。元アナウンサー。大阪市初の民間出身市長。“徹底した情報公開”で変革を訴える。
片山善博:前鳥取県知事。慶應義塾大学大学院教授。旧自治省出身。国にもの言う元“改革派知事”。公共事業の大胆な見直しに高い評価。
上山信一:慶應義塾大学大学院教授。経営コンサルタント。関前市長のブレーンとして経済原理に基づく市政改革を提唱。
上田理恵子:マザーネット社長。大阪在住45年。働く女性の子育てを支援。市政改革本部に参画した経験も。
藤井彩子:NHKアナウンサー。本討論の司会。
山岡裕明:NHKアナウンサー。
2008年2月8日 19:30〜20:50
NHKかんさい特集『新知事・市長に問う 大阪の、これから』前半
【冒頭VTR】
橋下徹(知事選映像):借金、借金、借金だらけで。
橋下徹(知事選時映像):今までのやり方、全部変えてみせます。
ナレーション:183万票という圧倒的な大阪府民の支持を受けて当選した橋下徹知事。橋下流の大阪改革に乗り出しています。
橋下徹(就任時映像):財政非常事態宣言というものを発したい。
ナレーション:予算は自らの手で徹底的にチェック。さらに、これまで2000億円以上発行していた負債を原則ゼロにする方針を打ち出しています。
平松邦夫:ありがとうございます。
ナレーション:就任から2ヶ月。大阪市の平松邦夫市長は情報公開を柱に市政の変革を指揮しています。今、裏金問題など、大阪市の様々な課題と向き合い始めています。
平松邦夫:徹底的に調査を行なって頂きたい。大阪は変わるのか。橋下知事と平松市長、二人のトップをスタジオに迎え、大阪のこれからを討論します。
【スタジオ】
藤井彩子:では、御出席の皆さんを御紹介して参ります。先ず、大阪府知事・橋下徹さん(座席には等身大?の写真パネルが置いている)。今日は東京に就任の挨拶回りに行っていて、今、7時40分に新大阪に到着する新幹線に乗っています。8時頃にはスタジオに到着する予定です。そして、大阪市長・平松邦夫さんです。
平松邦夫:こんばんは。
藤井彩子:前の鳥取県知事で慶應義塾大学大学院教授・片山善博さん。
片山善博:宜しくお願いします。
藤井彩子:慶應義塾大学大学院教授・上山信一:さん。
上山信一::こんばんは。宜しくお願いします。
藤井彩子:マザーネット社長・上田理恵子さんです。
上田理恵子:宜しくお願いします。
藤井彩子:さあ、この皆さんで8時50分まで徹底討論、生放送でお送りしていきます。番組では視聴者の皆さんからも御意見を募集致します。FAXでは大阪06-xxxx-xxxx番、xxxx-xxxx番。そして、E-mailでは御覧のNHKのホームページから、アドレスが御覧になれます。どうぞ御寄せ下さい。さあ、早速、大阪のこれからについて討論を始めたいと思いますが、その前に今、大阪がどんな現状にあるのかをデータで見ていきたいと思います。山岡さん。
山岡裕明:はい。今の大阪ですけれども、活気や魅力がないという声が聴かれますが、それをヒト・モノ・カネという三つの視点から見てみます。先ずはヒトです。こちらを御覧下さい。こちらは、あ、今、データ出ませんかね?
山岡裕明:東京都、愛知県、そして大阪府で、人の出入りの数、つまり他の地域から入って来た人と、他の地域へ出て行った人の差を示したものです。東京都や愛知県は他の地域から入って来る人、つまり引越しをして来る人の方が多くなっています。ところが、大阪府だけは他の地域へ出て行ってしまう人の方が多いという状況が続いているんです。そして、モノです。
山岡裕明:商都・大阪と言われますけれども、卸売り販売額で見ますと、全国シェアに占める割合が下がり続けています。最も売上が多かった平成3年には全国シェアの7分の1、15%(15.1%)を占めていました。ところが、どんどん下がってきて、平成16年には12%程(12.5&)にまで落ち込んでいます。そして、カネです。
山岡裕明:大阪府民の懐具合、所得も全国での順位が下がってきています。一人当たりの所得ですが、平成6年度までは大阪府は東京都に次いで2位でした。それが平成17年度になりますと、東京都、愛知県、さらには同じ関西の滋賀県にも抜かれて、大阪府の所得は9位という風になっています。今の大阪を象徴する3つのデータを紹介しました。
藤井彩子:さあ、今、御覧頂いたのは大阪府のデータだったんですが、当然、これ、大阪市とも密接に関係するデータだと思うんですが、平松さん(平松「はい」)、こういったデータを踏まえて、大阪の現状って、どう捉えていらっしゃいますか?
【いまの大阪をどう見るか】
平松邦夫:はい。あの、私、あの、選挙期間中に、あの、「元気アップ。大阪」というのをキャッチフレーズにして、「なんでこんなに元気がなくなったんや」ということを絶えず市民の方に訴え続けました。で、この私の直前の2年間、関前市長が市政改革、今日、あの、上山先生、お見えになっていますけれども、上山先生の指揮の下ですね、市政改革に取り組んだ。その市政改革マニフェストを私は攻撃してたんですよ、選挙期間中は。何しろ上から切り取る方式であって「市民の声が入ってないやないか」いうて、あの、ずっと攻撃してました。で、やはり市民の方の中に、改革が進んだというメディア、或いは、あの、経済界の評価に対して、市民の方が「いや、そんなん分かれへんわ」という人の方が多かったんですね。で、実際に市役所の中に入れて頂きました。で、入れて頂いて、細かいデータを、それまで選挙戦ですから、割と大きなデータしか見てなかったんですが、かなり細かいデータを見ていくと、「え、こんなにええことやってんの?」とか、市が一生懸命になって、あの、市民レベルのサービスをどれだけやっていくのかという、単に上から、あの、手を差し伸べるだけではない、皆さんの力を借りないとこれからは進みません、進みませんよという形をですね、区のレベルでやっているのを幾つも見つけたんですね。あ、だから、この市政改革というものを、今までのスピードを緩めることなく、そうした市民達の力を結集するところに手を差し伸べれば、或いは、手を差し伸べるという言い方、違うんです。一緒にやっていければ、元気になるという気がしてます。
藤井彩子:そうすると外から見ていた時よりも中に入ってみたら、結構いいじゃないかっていう実感をお持ちになったと。
平松邦夫:いや、結構いいじゃないかなって言えないです。やっぱり凄いですよ。財政状況大変ですよ。で、負の遺産、山ほど抱えてます。で、それを、やっぱり、あの、ずーっと長い間、身内だけで、こう、コントロールしてた訳じゃないですか。大阪市ってところで。それが、あの、「あの人がこの時代にやった事業やからなぁ、これ中々切れんわなぁ」みたいな、そういう所謂しがらみ、そういうものがやっぱりありますから、あの、それを見つけ出して、どう整理していくのかっていうのが僕の役目と思ってます。それは、だから、ある意味で負の遺産が山ほどある、それを市民に「これはこんな形で負の遺産となってしまいましたけれども、これはもうこうしか処理のしようがないんです。このまま放っておいたら、さらに税金がかかってしまうんです。」っていうみたいな情報を絶えず出しながらね、あの、取り組んでいきたいな、と。そうすれば、きっと、あの、前向きの力は出て来ると信じています。はい。
藤井彩子:では、片山さんに伺いたいんですけれども(片山「はい」)、今のデータや今の平松さんの発言を踏まえて、これから大阪はどういう姿を目指すべきかとお考えですか?
片山善博:あの、先程のデータはですね、あの、本当に象徴的だと思うんですね。やはり、あの、失礼ですけど、大阪の地盤沈下っていうのは否めないと思うんですね。で、例えばですね、人のその流入より流出が多いというさっきのグラフありましたけどね、あの、私なんか、私、生まれは岡山なんです。それで鳥取県の町にやってきましたけれども、あの、昔はですね、大阪の大学を目指す、その、子供達、随分多かったんですよね。だから、大学は東京に行かせるよりは大阪の方が近いですから。で、ところが最近ですね、やっぱり大学も東京志向になっちゃってるんですね。で、そういう意味では、やはり大阪の魅力っていうのが、その、周辺の地方でも随分落ちているんですね。で、逆に私は、その、大阪の非常にこう、あの、外れの方の山陰に降りましたときにね、感じましたのは、大阪の皆さんの、その、例えば山陰地方なんかに対する関心がまた著しく低いんですよ。あの、山陰地方ってのは、あの、経済なんかでは大阪なんです、やっぱり。農産物売るのも大阪なんですね。ですから、例えば、鳥取県ですとね、大阪で夏に冷夏だと西瓜がいい値段で売れないと、もうこれは歴然とした、その、調査結果があるんですね。で、ところが、その大阪の皆さんが殆ど関心を寄せてくれないっていう、こういうやはり、ことがあるんですね。で、私はこれからですね、大阪が伸びようと思ったら、その、大阪だけのことを考えていては、やはり不充分なんで、エリア狭いですから。ですから、山陰とかですね、北陸とかも含めて広いエリアを自分の背後地ぐらいに思ってですね、そこにも関心を払い、そこの人達も吸収というか惹きつけるようなね、そんなやっぱり施策が必要だろうと思いますね。そのためにはね、さっき市長さんおっしゃったですけれども、先ずその基盤、その何というんでしょうか、その、エンジンが市役所とか府庁ですから、そこがまあ色んなことで御取り込み中ですねっていうことではね(藤井アナ(笑))、中々、パワー出ませんから、先ず、市政改革やられて、それで西日本のリーダーになるような、そういう方向を目指されるべきだと思いますね。
藤井彩子:上山さんは如何ですか?
上山信一:はい、まあ、私も大阪生まれで、二十歳までずっと大阪で育ちました。で、その後はまあ、東京に行ったりですね、海外も80カ国以上回って来たんですけれども、まあ、あの、この年になってみると、やっぱり自分の育った街、生まれた街っていうのは一番居心地がいいですね。東京に住んでますが、まあ、あの、この3年間、延べ150日ですね、150回、大阪市役所に通わして頂きました。で、まあ、色んな改革のお手伝いして来たんですが、あの、思うことはですね、さっきのデータ見ますと、確かに所得が減ったり、人が出て行ったり、あの、毎年の瞬間で切っていくとですね、マイナスの情報は非常に多いんですけれども、まあ、日本全国、あの、過疎の村とかですね、色んなところ回ってますと、大阪はとても資産があると思うんですね。人がどんどん出て行くっていうのは、それは人材が沢山生まれているから外で仕事が出来る人が出て行く訳ですね。それから後、まあ、大阪市役所が大阪市の土地のなんと25%を持っている、と。これはまあ、とんでもないことだという見方も出来るけど、逆に言えばですね、あの、凄い財産をですね、まあ、平松さん以下、大阪市役所は持っている、と。で、それを上手く使えばですね、まあ、ラストチャンスかもしれませんけども、再生出来る可能性があるんじゃないか。で、まあ、色んな計算の仕方ありますが、まあ、借金5兆円っていうけれども、大阪市が持っている資産ですね。これは、まあ、地下鉄とか市営住宅も入れてですけども、15兆円、と。ですから、まあ、全部売って借金返すというのはありえないけれどもですね、充分に他所に較べるとね、まだまだ蓄積がある自治体だし、まあ、市役所、あの、過去2年半お付き合いしましたけれども、素晴らしい人材ですね。国と充分互角に喧嘩が出来る、発想・着想においてはですね、国を遥かに上回る現場感覚、皆さん持っておられてですね。まあ、これは私は、今あるものをですね、どれだけちゃんと使うかということにかかっていると思うんですね。
藤井彩子:上田さんはどういうお考えをお持ちですか?
上田理恵子:はい。え、私自身は今、中学校3年生と1年生の男の子の母親でして、仕事を続けています。あの、今日は母親という、働く母親という感じで、あの、発言をさせて頂きたいと思うんですけれども、そうですね、やっぱり大阪は子育てし易い街と、そういったことになって欲しいなと思います。え、仕事で講演で全国を回ってるんですけれども、「大阪って子育てし難い街なんですね」ということを言われるんですね。どうしてかというと、やはり保育所の待機児童数というのが、非常に大阪は多いというイメージを全国の方が持たれてます。で、最近の現状はどうかというと、あの、小さい子供がいても働き続けたいお母さんというのがやっぱり増え続けてます。そうすると、保育園というのは、更に、大阪市内、入り難くなってまして、あの、最近のお母さんからの声では、あの、一人親だったら入れるということを聞いたんで、一旦結婚して出産をして、そして保育園に入るために離婚をして、一人親になって入って、そしてある程度経って、また結婚する、と。そういうことまでしないと保育園に入れないという様な声が、これ何件も届いてます。やはり少子化当たり前だなっと思うんですけれども、やっぱり街が元気になるためには、子育て中のお母さんが、この街に住みたいなっと言ってもらえる様な色々な施策があるということが大切なんじゃないかなっという風に思っています。
藤井彩子:さあ、では具体的に市政について、ここから見ていきたいと思うんですけれども、え、平松さんが選挙公約として挙げていらっしゃいました16の重点基本政策について御覧頂きたいんですが、こちらの16の項目をマニフェストとして挙げていらっしゃいました。
藤井彩子:で、中でも最も強く訴えていたのが、この4番目、情報公開、コンプライアンス(法令遵守)の徹底という(平松「はい」)部分だったんですが、就任されて2ヶ月。どの程度、手応えを感じていますか?
【情報公開は進んだか】
平松邦夫:はい。えーっと、先ず、その少数与党と言われておりまして、え、まあ、私自身は、あの、市会とのお付き合いというのは是是非非で、色んな数があっても何とかなるとは思っていたんですけれども、え、色々巷間伝えられておりますように、え、結構厳しい船出をさせて頂きました。ただ、その中で譲らずにずーっと言い続けていることが、この、一つはこの情報公開ということです。え、今まで市役所の体質とかいうものでいうと、その、悪いことを大きく伝えられてしまうから、なるべく、あの、情報を出すのを控えようかとか、あの、コントロールしたいなとかいう気持ちが働いているから、突ついてこれですがってまた叩かれ、で、こんなんもまた出ましたっていうてまた叩かれ、みたいなこと。隠そうという形がどっかに見えるんですよね。それが一番、傷を大きくする元だということを、あの、多くの人に分かって欲しい。で、市役所の職員に一番分かって欲しいと思う。だから、情報公開質を、え、立ち上げたいということで、今、準備室を先日、立ち上げました。で、組織が出来たら出来るんかってもんでもないと思いますんで、その情報公開室の中に広報・報道室を作ったり、あの、入れたり、或いは、あの、コンプライアンスを統括する部門に入ってもらったり、え、そして、私と一緒に街へ飛び出すという意味で、市民協同のチームをですね、あの、作ったり、という方向で進んでいます。で、あの、まだまだ残念ながら、あの、末端に至るまで4万数千人いますので、私の気持ちが中々伝わらないという部分は感じております。で、でも、折に触れて事ある毎に、例えば今も不祥事が幾つか出て来てしまっています。私が就任してから後に。え、出て来ておりますが、それに対する対応を絶対に間違わない。もう全ての情報を公開していく。何が、いつ、こういうことがあったから、こんなことになってしまいました。申し訳ありません。但し、これに対しては二度とこういうことが無い様に、こういう方策を採ります。これで充分でしょうか。という様なことを絶えず、あの、言っていきたい。これが情報公開だと思うんですね。で、あの、情報公開と同時に私が言い続けていたことは、やっぱり、発信の仕方をもうちょっと勉強しましょうよ、という部分です。まあ、あの、自分がメディアの出身ですから、あの、分かり難いことを分かり難い言葉で言うても、分からないのは分からない。なら、分かり難いことを分かり易い言葉で分かり易い様に伝えないと、情報公開したといって胸を張ったらあかんと思うんですよ。そこを何とかやってみたいと思ってます。はい。
藤井彩子:具体的には、今、お話にあった情報公開室の設置を決定されたり、定例会見を週二回だったのを一回にされたりだとか、若しくは、あ、二週に一回だったのを(一週間に)一回にされたりだとか、若しくは、予算の素案を公開されたりということがありますが、上山さんはこうした平松さんの政策については、どうお考えになっていますか?
上山信一:はい、あの、大阪市に限らずですね、行政改革のもう要諦中の要諦は、やっぱり情報公開に尽きると思うんですね。で、まあ、たまたま最近、平松市長就任後にですね、過去の、あの、区役所での裏金問題ですね。これが、まあ、発覚したんですけれども、あれもあの、関市長の時代に創った、え、公益通報制度ですね。これが、あの、上手く機能しましてですね。中の職員の人が、まあ、金庫の中に封印して入れてたお金をですね、まあ、代々引き継ぐ訳にはいかない、と。ついに決断してですね、まあ、あの制度を使って、あの、表に出した、と。それは、あの、見事に、あの、市長は受け止めてですね、もう、それをもう市民の皆さんにどんと出してですね、むしろこれを、え、きっかけに、え、まあ、他にももしあったとしたらですね、今このチャンスの内に出しなさい、と。まあ、隠してると後、大変なことになる、と。ラストチャンスだという形ででですね、非常に上手く、あの制度を使われているという風に思いますね。
藤井彩子:この情報公開ということに関して、上山さんは是非これを平松さんにやって欲しいということはどういうことですか?
上山信一:そうですね、あの、やはりですね、大阪市は大きいんですよね。さっき、まあ、あの、大阪市の面積の25%、市役所が持っていると言いましたけれども。
平松邦夫:土地も入ってますよね。土地じゃない、あの、道路が入ってますよね。
上山信一:道路が入ってるので、まあ、他の都市でも1割以上あるんですけどもね、あの、まあ、そんな事実であるとか、それから、あと、まあ、職員の数がですね、非常に多い、と。まあ、他の都市と較べてですね、いい意味でも悪い意味でも市役所が、何でもかんでもやってる訳ですね。まあ、地下鉄もそうですし、バスもそうですね。で、それはあの、大昔においては民間が出来ないから市役所が率先してですね、他の都市に無いものを作る、と。大阪港もそうですね。え、非常に素晴らしかった訳ですが、それをこうずっと引き摺って来てしまった、と。で、それが非常に非効率な形になってきているので、やっぱり人とお金の使い方ですね。これに関して、やっぱり徹底的に情報公開する、と。しかも、その、不正があるとか無いって問題ではなくて、他の都市と較べてどうかとかですね。或いは、市民一人当たり幾らかかっているかとかですね。或いは、職員の給与にしましても、まあ、大阪府民の所得、さっき出てましたけれども、まあ、300万強な訳ですね。市役所職員の給与というのは、え、700万弱ですよね。市バスの運転手さんに至っては手当てもいれますと811万円、と。これはやはりですね、市民の理解到底得られないと思うんですね。で、まあ、あの、お金が非常にあって、黒字の自治体であればですね、いい訳ですけれども、やはり、あの、そういった等身大の情報っていいますかね、それをまあ、表に出していく、と。で、いいか悪いかっていう風なこともですね、あの、市民も交えてですね、分かり易く議論をする、というのが非常に重要なので、市長に是非、引き続きですね、お願いしたいと思います。
平松邦夫:そうですね。あの、それはあの、続けて、色んな情報を皆さんにお知らせすることから色んな議論が生まれてくる。
上山信一:そうですね。
平松邦夫:という風に思っておりますんで、是非続けていきたいし、拡大していきたいと思ってます。はい。ここまでにFAXで届いた視聴者の声
自営業(50代・男性):採算を度外視した公共事業はやめてほしい
30代・男性:人件費の大幅削減 事業凍結で財政再建を
公務員(40代・男性):財政破たんの責任は議会にもあるはずだ
会社員(50代・男性):早急で極端な財政削減は影響が大きすぎる
40代・女性:大阪府と市のボーナスは高すぎる
自営業(70代・男性):職員たちは危機感と緊張感を持つべきだ
会社員(20代・男性):大阪市は職員給与引き上げの余裕があるのか
60代・男性:市民は公共に過剰なサービスを求めないこと
学生(20代・男性):府と市の連携をどう進めるのか聞きたい
教師(40代・男性):余力のある所から税を取って財政再建を
30代・男性:中小企業にとって悩みは人材不足 対策を
会社員(30代・男性):セーフティーネットを日本一にしてほしい
20代・男性:人件費の削減だけでは借金返済はムリだ
自営業(30代・男性):お二人には民間出身の強みを出してほしい
30代・男性:大阪の変なイメージを変えるブランド戦略を
学生(20代・男性):東京が大阪から奪った企業を取り戻して
40代・男性:聖域なき改革を同和関連事業も見直すべき
20代・男性:単年度会計を廃止し 節約型の会計に
教師(60代・男性):議員報酬と政務調査費にメスを入れるべき
藤井彩子:あの、情報公開室なんですけれども、設置を決められて、そこにこう、民間の力を入れていこうという様なお考えは無いですか?
平松邦夫:えっとですね、これも、あの、中々、大阪市はですね、え、私が入ったこと自体も、あの、初めてといっていいぐらい、その民間が、あの、入るということが、で、入れたいということは思ってますけれども、どういう方が最適なのか、先ず枠組みを作って、そこでどう動かすかっていうのを考えていく中から「誰か入ってくれる?」っていうみたいな情報を発信して、あの、手を挙げて下さる方に入って入ってもらうとか。でないと、私のフィルターがかかっている訳じゃないですか、ね?
上山信一:そうですね。あの、アメリカに私、4年ほど住んでたんですけどね、面白いのはね、普通の市民が普通の、その、役所の中の会議にね、ぶらっと来て、出てるんですね(平松「はい」)。で、そうすると、もう、見られてる訳ですから、こそこそした議論出来ない訳ですよね。そこまでやっぱりいかないと駄目だと思いますね。
平松邦夫:あの、知り合いのネットワークだけでコントロール出来るほど小さくないんです(藤井「うん」)。大阪市って。で、やっぱり本当に今あの、大阪市、或いは自分が住んでる区のためにね、ボランティアで一生懸命働いている人達、働くっていうか動いてる人達がいますから、そういう人達に「大阪市、何が足らんねん」っていう話を聞きにいけばね、物凄く答えが返って来ると思うんですよ。「こんなことでけへんの何でやねん」みたいな、「いや、そうでっか、じゃあ一緒にやりましょか」みたいな動きになっていくことが、僕は元気を生む秘訣やと思ってます。
藤井彩子:じゃあ、その情報公開室に関しても民間を入れる可能性というのは充分にあるということですね。
平松邦夫:充分にありますよ。あるけども、制度としてそれをどういう風に、あの、使うか。それとその、やはり有償ボランティアっていう考え方もね、これからは必要になってくる時代じゃないかと思うんですよ。何でもかんでもボランティアで、無料でやって下さいって部分じゃないし、或いはNPOの人達にどう参加してもらうかという様な、それをこうどう上手く有機的に組み合わせてネットワークを作るかというのがね、あの、物凄く大きな仕事になってくる様な気がするんですよね。
片山善博:いいですか?
藤井彩子:はい。片山さん、どうぞ。
片山善博:あの、情報公開はですね、もう、その、役所に限らず組織の病現象を取り除く万能薬なんですね。
藤井彩子:万能薬?
片山善博:ええ、特効薬ですね。それで、組織にまあ、色んな不正とか不敗とか無駄とかズレとかが生じるんですけど、それを防ぐのが、防腐剤が情報公開なんですね。で、役所はですね、特に不透明になる、あの、分野があるんですよ。それは予算。で、予算ってのは、主権者である住民にとって一番大事なものなんですよ。何をしようとするか、何をしないか決める訳ですからね。で、これが一番不透明なんですよ。途中段階では全然情報を出さない、途中で話を市民がしてもですね、「いや、まだです」と言って。で、予算が出たときには「もう決まりました」って、「いつ言えばいいんですか」っていう、こういう不透明な部分があるんですね。あと、それから、労使の関係。それから、色んな業界団体とか関係団体との折衝。それから、え、公共事業。こういうところが大体、役所は不透明なんで、だから、そういうところを重点的にもう透明化していくっていうことが必要ですね。で、役所はですね、情報公開、役人の人達は大体、情報公開取り違えてましてね。自分達が出したいものを出すのが情報公開(藤井・平松、笑う)、出したくないものを堕さないのが情報公開と、こう思ってる。違うんですね。情報公開っていうのは、役所が出したくないものを出さざるを得ないのが情報公開なんです。出したいものを出すのは、これは広報なんですね。だから、そこのところを職員の皆さんに徹底してですね、意識改革をしなきゃいけない。出さざるを得ないから、貴方がたはちゃんとコンプライアンスに欠ける様なことはしちゃいけませんよってことなんですね。で、そのときですね、あの、さっき、市民の皆さん入れますかって、私はですね、公共事業は非常に、鳥取県でも不透明だったんですよ。で、これをどうするかっていうんでですね、「市民オンブズマン鳥取」って、やっぱり鳥取にもあるんですから、そこの代表、これ弁護士ですけどね、この方に入ってもらって、もう徹底的に見てもらったんです。例えば、指名基準とか入札の基準とかですね、そんなもの。そうするとね、もう、あっという間に改善されましたね。
平松邦夫:あのね、あの、先程、上山先生おっしゃった、その大阪市の改革の中で、あの、コンプライアンスをやって頂いているのがオンブズマンの弁護士の方なんですよ。今、ええ、コンプライアンスの委員会の、あの、トップとして活躍して頂いて。
上山信一:辻弁護士。
平松邦夫:はい。辻先生にやって頂いて。だから、そういう仕組みを、まあ、あの、作って、一生懸命、二年、市政改革をやってきた。でも、今回、色んな不祥事が出てしまってます。で、これは、あの、私がなった前だからとか、そういう問題じゃなくて、やっぱりシステムに問題があるんですね。で、そのシステムをどこまで解剖出来るのか。それがたまたま、まあ、私が入ったときに明らかになったから、とことんをやりたいというつもりで、今おる、いるんですよね。で、それがもう情報公開の本当の武器。
片山善博:あのね、職員の人はね、隠すことで当面は楽が出来るんですよね。だから、そっちの方を選びたいんですけどね、実は本当は、そのことが本人にとって凄くリスクの高いことなんですよ。バレたときに怖い。そうしますとね、本当は隠さないでちゃんと公開を前提にして仕事をした方が楽ですよっていうことが、本当は分かることですよね(藤井「そうですね」)。そこまでいって欲しいですね(藤井「はい」)。
平松邦夫:あと、あの、いいですか、上田さんがね(上田「はい」)、さっき、おっしゃってたその子育て(上田「はい」)。「大阪で子供を育てられへんやん」って、僕もね、選挙期間中に(上田「はい」)、お母さんからそういう訴えを受けたんですよ(上田「はい」)。だから、私の重点施策の中に、あの、子育て、或いは子供を安心して育てられる街でないとあかん(上田「ええ」)、ということを言い続けています。それから片山さんからも御指摘がありました、予算が見え難い。で、確かにね、見え難いんです。で、私が入ったんが12月ですから、もう大きな骨格決まってしまっています。で、そんな中で、どれだけの自分の色が出せるのかということで、懸命に職員に言い続けた結果、この20年度予算の中で少しでもそういう色が出ればと思って、あの、そこは重点施策にしてくれって、今、言うてる最中ですから。
藤井彩子:はい。今、まさに予算の話が出ましたけれども、え、先週公開された来年度予算の、市の、え、これはですね、素案になるんですけれども、そこで示された、これ、数字ですね。
藤井彩子:今年度よりも2%少ない、つまり339億円少ない数字というのが提示されましたが、これ、先ずですね、数字の面から伺っていきたいんですが、何故2%、およそですね、339億円少ない数字という、この削減度合いに留まったのか。若しくは、ここまで踏み込んだのか、どうお考えですか?
平松邦夫:ここまで踏み込んだと、あの、私は思っていいと思っています。というのは、あの、税収がね、税収の見込みをどうするかということだと思うんですよね。で、税収見込みが、あの、市民税はまあ、横這い程度。で、法人市民税の方も、見込みが、あの、今までは割りと景気がいいって感じで出てましたけれども、これが今後どうなるか。非常に先行き不透明な形になっておりますから、え、そう大きくは見る事が出来ないということから、あの、それと同時に市政改革マニフェストっていう大きな目標を立ててます。これが、え、5年間で2250億円削減するという目標を立てた中で、え、予算を組んでいく訳ですから、それに対して、達成率が何%、3年の時点で何%になるか。4年、5年で、その目標が出来るかという線に向かって行く訳ですから。え、幸いなことに、最初の2年間で、物凄い達成率があったので、当面これでいけるという見通しは持ってるんですけど。上山さん、どうでしょう(藤井、笑う)。
上山信一:そうですね。うん、いや、私は、あの、うん、まあ、やや、やや異論がありますよね。
藤井彩子:あ、そうですか?(藤井、笑う)
上山信一:まあ、さっきのあの、マイナス2.9、あの数字はですね、あの。
藤井彩子:2.1ですね?
上山信一:あ、2.1ね。
藤井彩子:はい。
上山信一:あの、まあ、あれは、まあ、あの、そこそこ押さえ込んでおられるなっと思いますが、え、去年は確かマイナス4.7?まあ、毎年、同じペースで行くべきか分からないですけれども、あの、やっぱり大阪市が大阪の経済力に照らしてですね。あの、どれぐらいの大きさ、サイズがあるべきかと、まあ、身の丈って言葉を過去2、3年使ってきたんですけれども、それと較べるとですね、まだまだ巨大過ぎると思うんですね。で、まあ、特に職員の数ですね。これは福岡市の人口比率比の職員の数の約2倍と。まあ、あの、他の市と同じことをやっている訳じゃないですね。単純比較出来ませんが、去年、まあ、67の事業全部をですね、え、去年一昨年かけてですね、まあ、あの、徹底的に分析しましたが、どの事業を見ても約3割ぐらいですね、過剰。つまり、3分の1の人は本当は要らないかもしれない、と。そういう結果が出て来るんですね。ですから、まあ、あの、そこの部分をどうやって削るのかっていうところを考えればですね、マイナス2とか3とかぐらいでは、とても目標に達成しない、と。マニフェストに立てた数字はですね、一応達成出来るだろうとは思いますけれども、あれは、まあ、あの、まだまだ目標値そのものが低いしですね、所謂構造改革のレベルまで行ってないですね。
※この日記は2月11日21時00分頃に公開しました。後半に続きます。