2007年08月28日

高村正彦防衛大臣について

 昨日、安倍改造内閣の人事が発表され、防衛大臣には高村正彦氏が起用されました。法務大臣と外務大臣を歴任された人物が防衛大臣という要職を務めるというのは、個人的には望ましい人事であると考えます。ただ、高村氏が日中友好議員連盟会長であることから、そのような人物が防衛大臣に就任することを警戒し、「媚中派」云々と批判する向きもあるようです。

 しかし、同議連の副会長は今回の改造人事で外務大臣に就任した町村信孝氏です。日中友好議員連盟に所属し、重要な役職に就いているという点では両者は共通しているにもかかわらず、ネット上の右派の評価は、不思議なことですが正反対です。個人的には、町村氏も高村氏も優れた政治家だと思うのですが、同様の肩書きを持ちながら一方だけが低く評価されている状況は残念です。


 私は軍事に詳しくないので、高村氏が防衛大臣という職に適任かどうかは知識の詳しい方の判断に委ねますが、先月、2007年7月25日発行の重村智計著『北朝鮮はなぜ潰れないのか』(ベスト新書)を読んでいたら、以下のような記述がありました。
拉致国民を見殺しにした実力者と政治家
 小泉純一郎首相以前の総理は、どうして「拉致問題の解決なくして、国交正常化なし」と言わなかったのだろうか。言わせたくない政治家が自民党にいたからである。この政治家の罪は、極めて大きいというしかない。実力者といわれたこの政治家は、背後で首相も動かした。

 だから、歴代の首相はこの実力者に逆らって「拉致問題の解決なくして、国交正常化なし」とは、言えなかった。ただ、安倍晋三議員(当時)と高村正彦元外相だけが、「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」と明言した。当時としては、相当に勇気のいる言動だった。自民党内では、この実力者に逆らったら不利益を覚悟せざるをえなかったからだ。

重村智計著『北朝鮮はなぜ潰れないのか』113ページ

 ネット上では「北朝鮮に拉致された中大生を救う会」のHPの「これまでの支援活動・拉致事件関連報道」というページで、高村氏の拉致関連発言が読めます。一部抜書きします。詳細はリンク先で確認して下さい。
平成12年12月 2日  「激動する北東アジアと日韓関係」
>「拉致された人の命を守り、返してもらわねばならない。そんなことをした人は、基本的に処罰されて当然だ。さらに再発しないという約束。これが我々の求める出発点だ。」

平成12年10月25日 毎日新聞:<高村前外相>拉致問題解決「こだわる必要」 大阪で講演  
>主権国家として拉致問題には徹底的にこだわらなければならない」と強調した。

平成12年 8月23日 産経新聞:高村氏「疑惑解決が必要」
>「国民の生命、人権をないがしろにしてまで正常化はできないとの基本線を守らねばならない」と述べ、日本人拉致(らち)疑惑などの解決が重要との認識を示した。

平成12年 8月20日 時事通信:拉致疑惑は日朝正常化交渉の中で解決すべき=高村前外相
>日本人の拉致(らち)疑惑について「日本人の安全や生命をないがしろにしてまで交渉はできないことをはっきりさせるべきだ。交渉の中で解決していかなければならない問題だ」と述べ、正常化交渉の場で真相を明らかにするよう求めるべきだとの考えを表明した。

平成11年12月16日 北海道政経懇話会 12月例会:「日本の外交」より抜粋
>私がペリー調整官と一番最初にお会いしたときに私が申し上げたのは、「拉致」の問題です。これは日本の主権の侵害であり、日本国民を連れて行ったのは正に人権侵害、日本国民の生命の話であるから正に日本の問題であると同時に、人権の問題として日米韓共通の問題として取り上げてもらわなくては困りますよということを申し上げました。

>私たちからは非常に重要な外交カードである食糧支援というところを、どういうところで切るのかなということは、これからが大切で難しい問題になるだろうと思います。 日本国民はやはり自分たちの身体、生命、財産を守ってもらうために税金を払っているわけでありますから、現実に少なくとも7件10名の方が拉致されたという確率が非常に高い中で、そのことについてやはりなんらかの前向きの対応がないと、かわいそうな方を助けるための食糧支援といっても、なかなか国民に納得していただけない。そういう状況だろうと私は思っています。これからが大変だということです。

 肩書きから「媚中派」云々という通り一遍の批判をされている方々に対しては、既存の評価軸を一旦横に置いて、これからの高村正彦防衛大臣の手腕を眺めてみてはどうか、と提案します。
posted by sok at 06:30| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

高村氏についてはいろいろな意見があるので、私はどう評価してよいのかわからない状況です。教えてください。
日中友好議員連盟会長ではあるが決して「媚中派」ではないと思って良いのでしょうか。ならばそもそも日中友好議員連盟とはどういう立ち位置の組織なのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
Posted by yd at 2007年08月29日 12:10
 yd様、コメントありがとうございます。


>どう評価してよいのかわからない状況です。

 これまでの言動を調べ、今後の活動を見て判断されてはどうでしょうか。例えば、下記のリンク先にて高村氏の過去の講演要旨が読めます。私が読んだ限りでは、ネット世論に受けるような所謂「タカ派」政治家ではないけれど、中国に対しても言うべきことは言える政治家だと思います。日中友好とは「対等な主権国家同士の関係を築くこと」と言い、対中国ODA削減論や靖国神社問題への視点、江沢民来日時の外交上の駆け引きなどを見ても、ネット上で言われているような「媚中」的な様子は見えません。本人の弁なので幾らか差っ引いて判断するとしても。

週刊「世界と日本」1663号:対等で安定した日中関係を 最近の内外情勢
http://naigai.cside6.com/kiji/tokyokouen/koumura2.htm
週刊「世界と日本」1676号:勇気と知恵で解決図ろう 最近の中国情勢と日中関係
http://naigai.cside6.com/kiji/tokyokouen/koumura3.htm


>日中友好議員連盟とはどういう立ち位置の組織なのでしょうか。

 日本と中国の貿易を拡大させるための議員連盟です。「決して〜ではない」とは断言できませんが、日中友好議員連盟の会長であれば即「媚中派」と評されるならば、同議連の副会長である町村氏は何故「媚中派」にならないのか、という疑問があります。町村氏については、これまでの言動を考慮して(「媚中派」と評する人達が言うところの)肩書きによるマイナス評価が帳消しにされてプラス評価とされているのに、高村氏についてはこれまでの言動が考慮されず、その肩書きだけでマイナス評価とされるのは何故なのでしょうか。ネット上で言われる「媚中派」という括りは、イメージ先行のように見受けられます。
Posted by sok at 2007年08月30日 01:40
本当の意味での友好ならば、対等での友好を目指すならば是だと思うんです
まずは、如何なる行動を為すのか?を見る・・・見続ける必要はあるんでしょうね
Posted by カイザー☆ひろ at 2007年08月30日 05:53
 カイザー☆ひろさん、コメントありがとうございます。

 一昨日の中国・曹剛川国防相との会談では、急激に増加する中国の国防費について情報公開を求めており、これなどはこれまでの「媚中派」という括りの印象からすれば、一つの評価の対象でしょうか(当たり前のことと言えばそれまでですが)。それから、9月の臨時国会で最大の焦点となるとされるテロ対策特別措置法延長問題との絡みで見れば、弁護士出身で法務大臣と外務大臣経験のある高村氏の起用は、民主党と国会で論戦をするのには良い人選だと思います。

 政権に絡むことが無ければ、幾らでも理想論・観念論やタカ派的な発言は出来ますが、政権与党の、しかも要職にある政治家ともなれば、発言も自然と慎重にならざるを得ません。有権者としては地味な部分での得失点を見続けて判断することになります。防衛庁が省となって以後、初代大臣である久間氏の原爆「しょうがない」発言、二代大臣である小池氏の事務次官人事問題と、防衛大臣人事に疑問符が付く事態が続きました。国民の国防への理解を深めるためにも、三代目防衛大臣としての高村氏の職責は重いですし、であるからこそ、私は高村氏に期待したいです。
Posted by sok at 2007年09月01日 05:05
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新大臣への期待
Excerpt: 安倍改造内閣が発足してはや数日、さっそく舛添厚労大臣が早速抜き打ちで視察を敢行するなど、並々ならぬ決意が垣間見えます。個人的に舛添大臣を評価したいのはいつも謙虚な姿勢を崩さないところです。#TVじゃと..
Weblog: 心機一転永田町
Tracked: 2007-08-30 07:06
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