※ニコニコ動画が削除されたそうです(7月8日20時00分頃追記)
(2007年07月08日)( ;^ω^)<へいわぼけ:【NHK】 7-6のネット祭り特集で捏造編集発覚→ニコ動削除
(2007年07月08日)ニュース超速報!:【NHK】7-6のネット祭り特集で捏造編集発覚→ニコ動削除
2007年07月06日 特報首都圏『ネットの“祭り”が暴走する』
野村優夫:こんばんは。インターネット上で不特定多数の人が意見交換をしている内に一気に盛り上がる。そして、次第に歯止めがかからなくなっていって、現実社会に大きな影響を与えていく。そうした事態が今、あちらこちらで起こっています。
【VTR】
野村優夫:ある有名な裁判に係わっている弁護士に送りつけられた脅迫状。中には、殺害を予告するものまであります。「この弁護士を辞めさせろ」、弁護士会には、裁判に全く関係の無い人達から1,000通を超える懲戒請求書が届きました。異例の事態に、前国508人の弁護士達が緊急アピール。「暴力や脅迫をもって弁護活動の封殺をはかることは許せない」と訴えました。一体、何故こうしたことが起きたのか。実は、インターネット上で「死刑にしてやれ」などと、寄って集って弁護団を吊るし上げるような書き込みが行なわれ、“祭り”といわれる状態になっていたのです。その中で懲戒請求を行なおうという呼びかけも行なわれていました。<※1>
緊急アピールを行った弁護士(女性):力、脅迫、暴力。そういったものを、その、洪水のように押し寄せることで封じ込める。集団っていうのを形成することが瞬時に可能になってしまう訳ですから、やはり恐ろしいものだと思いますね、はい。
野村優夫:(東京 渋谷 先月19日)先月、渋谷で起こった温泉施設の爆発事故。これは朝鮮総連の仕業というデマが実しやかに流されました。この時もネット上で“祭り”が起こっていました。「やっぱり総連なのか?」、書き込みは徐々に敵意を帯びていきます。インターネットの掲示板サイトには、誰もが匿名で書き込むことが出来ます。誰かの意見に同調した人が次々に書き込みに加わっていく内に、話が大きくなっていくのです。<※2>
ネット掲示板に書き込む人(男性):小さな人間が、そういうネットの人間が、そういう風に団結することによって、まあ、世の中にアピールして、社会現象を起こすことができるんだってことが、快感なんじゃないかと思います。
野村優夫:突如始まり、予想もつかない方向にエスカレートしていくネットの“祭り”。一体何が起こっているのか取材しました。
タイトル:ネットの“祭り”が暴走する
【スタジオ:ネットの“祭り”が暴走する】
野村優夫:インターネット上の “祭り”が、現実社会の攻撃へとエスカレートしていく。その主な例をこちらに纏めてみました。2006年6月 大学准教授 東京裁判の論文
7月 俳優 在日韓国人擁護の発言
8月 タレント 護憲の書籍出版
9月 スポーツライター 皇室に関する発言
2007年1月 フリースクール 教育方針
6月 弁護団 裁判の弁護方針
野村優夫:この1年前後の主なものです。行政担当者やタレント、弁護士など、様々な職種の人が攻撃を受けています。この大学の准教授の場合には、東京裁判についての論文を書いたらネットで批判を受けました。脅迫の手紙やFAXが送られて来ました。このフリースクールでは、学校への誹謗中傷が、学校のホームページなどに書き込まれました。この書き込みを信じた生徒の退学の申し出や入学辞退が相次ぎました。
インターネット上での“祭り”が、必ずしも攻撃的になるとは限りません。場合によっては、社会貢献の大きな力になる場合もあります。ところが、“祭り”の盛り上がりの方向によっては、時に現実社会の攻撃へと繋がっていきます。それが大きな圧力になって、言論が歪められてしまうのではないかと危険が指摘されています。<※3>
こちら、掲示板の書き込みです。基本的に匿名になっています。誰が書いているのか分かりません。私達は、どんな人がどうしてこうした書き込みをしているのか、取材をしたいという風に考えました。まあ、中々、接触するのは難しかったんですけれども、最終的に6人の人にあって、話を聞くことが出来ました。
【VTR:ネットの“祭り”仕掛け人】
ナレーション:ネットで“祭り”を起こしているという6人の男性、都内在住の21歳から43歳の会社員です。いずれも転職経験の持ち主でした。<※4>
右端の男性(黒シャツ):この2人に共通しているのが、あの、前に勤めていた会社がつぶれそうだったという。つぶれたんだっけ?(音声は変えています)
右から2番目の男性(白シャツ):こないだつぶれたんです。(音声は変えています)
右から3番目の男性:両方ともつぶれましたね。(音声は変えています)
ナレーション:彼らが行なうネットでの攻撃は、妬みややっかみから起こることが多いと言います。
右端の男性:だいたい、こういう、こうなんていう、あまり世間で認められない人達が、ネットでたくさん時間を使うんですよ。(音声は変えています)
右から4番目の男性:で、後、有名人と権力者が嫌いで叩きたい、と。とにかく、ちょっとでも有名だと叩きたいっていう、それはなんでかって言うと、やっぱり、あの、ねたみとか、あの、恨みとか、いつもテレビに映って、うぜえと内心思っているから。で、そういう奴が実はこんな悪いことをしていたってなったら、ほれ見ろ、燃料投下で大爆発っていう。(音声は変えています)
ナレーション:特に、誰かが悪いことをしていたという場合には、嵩にかかって攻め掛けます。
右から3番目の男性:求めてるのは「悪」であって、そこに「悪」がありますよって誰かに言われたら、そこにみんなで行く。で、「悪」を非難するっていう図式が、まあ、子供の時代から勧善懲悪のアニメやら何やらを見て、特撮やらを見て育っていますので。(音声は変えています)
右から5番目の男性:社会的に「悪」だとされていることをしている人がいたら、みんなで叩きに行こうみたいな、そういうノリはあると。(音声は変えています)
ナレーション:標的になっている人の職場や自宅の写真を、わざわざ撮りに行く人もいます。そうした写真をネット上で公開すると、「神」と崇められます。
左端の男性:まあ、僕なんかも、あの、学生の時は、あの、写真を撮りに、こう、バイクであちこち走り回ったときもありましたけど(他の男性、笑う)、まあ、でも、やっぱり、それによって「すげえ」とか「神」とか言われたりすることに、やっぱりこう、えっと、自己顕示欲。(音声は変えています)
右端の男性?:優越感を感じていたよね。(音声は変えています)
左端の男性:そうですね。(音声は変えています)
右端の男性?:あの時すげえ嬉しそうだったのを覚えている(他男性、笑う)。(音声は変えています)
左端の男性:若干嬉しそう、嬉しかったです。(音声は変えています)
右端の男性?:満足感、優越感、達成感。(音声は変えています)
左端の男性:全部きてましたね。(音声は変えています)
インタビュアー:じゃあ、これ、もしかしたら嘘だったら可哀想だなとか、そういう感じにはならないの?
右から4番目の男性:かわいそうだとか、叩かれてかわいそうだとかっていう感情はもう入りようがないっていうわけですよ。(音声は変えています)
右から3番目の男性:あとは、いじめと一緒でみんながやってるから私もっていうのがやはり。(音声は変えています)
右端の男性?:いじめの論理はあるわね。(音声は変えています)
【VTR:暴走するネットの“祭り”】
ナレーション:東京、秋葉原。座談会に来ていたAさんは、ここで一人暮らしをしています。22歳でコンピューターの専門学校を卒業した後、6回の転職を繰り返し、今はゲーム製作の会社に勤めています。この日の帰宅は午前1時。家に着くなり、2台のパソコンを立ち上げました。1台でメールを見ながら、もう1台で今どんな話題で盛り上がっているのかチェックします。
Aさん: “祭り”でしょうね。こいつらにはどれだけ文句を言ってもいいんだっていう風な流れになってきちゃってますから、弱まることはないでしょうね、これから先。
ナレーション:“祭り”が起こっていたのは、光市母子殺害事件の裁判についてでした。8年前、山口県光市で主婦と幼い子供が殺害された事件、その裁判の被告人への質問が、この日、行なわれました。被告の元少年が「遺体をドラえもんが何とかしてくれると思った」などと弁明したことが、大きな話題となっていたのです。掲示板では、弁明をさせた弁護団に対して、激しい批判が相次いでいました。
Aさん:この弁護団どうよっていう話に、今、普通に考えたらありえない、その、ね、公判のやりとりだった訳じゃないですか。
ナレーション:面白い展開で盛り上がっているところはないか、Aさんは別の掲示板を探し始めました。弁護団に懲戒請求をしようと呼びかけている掲示板がありました。自分もやりたいとネット上は沸き立ちます。すると誰かが、弁護団21人の名前と所属事務所を全て公開しました。一般の人では殆ど入手が難しい情報を提供した人に対して、賞賛の声が沸き起こります。これを見たAさんは、すごいスピードで何かを探し始めました。<※5>
Aさん:その内、文面はこういうことを書いたら、書けばいいですよっていうのが、載り始めるんじゃないですか。
ナレーション:探していたのは懲戒請求の見本でした。
Aさん:きた。懲戒請求書のテンプレート。
ナレーション:プリントアウトして、署名捺印するだけで、簡単に書類が作れるようになりました。<※6>
ナレーション:ネットの“祭り”は、大変な事態を引き起こしました。弁護士会に送られてきた懲戒請求書は1,000通を超えるといいます。さらに、弁護士個人に対しても、脅迫状が続々と送りつけられていました。事実関係を踏まえず、徒に懲戒請求を行なうことは違法である。全国508人の弁護士達が異例の緊急アピールを行なう事態にまで発展したのです。
弁護士 前田裕司さん:懲戒請求が、その、異常な形でなされているということとか、或いは、日弁連に脅迫状が来たとかですね。その、殺害予告が警察になされているというか、従来の、まあ、弁護団批判とか、弁護人批判ということと対比しても、やはり突出してんじゃないかと。刑事弁護を担う人が、より一層少なくなってしまうっていう、そういう現象が生じるとすれば、非常に危機的状況だと思いますね。
ナレーション:しかし、“祭り”は一向に収まる気配はありません。それどころかアピールが火に油を注ぐ形で、逆に盛り上がっていったのです。
Aさん:自分達の攻撃が、相手に効くんだぞっていうのが、逆に向こうからのアピールによって気付いてしまった訳ですよね。火にガソリンを注ぐ如く、マッチポンプの原理で、このネタに集まってくるんでしょうね。
【スタジオ:ネットの“祭り” その心理は】
野村優夫:スタジオには、ジャーナリストの井上トシユキさんにお越し頂きました。どうぞ宜しくお願いします。
井上トシユキ:宜しくお願いします。
野村優夫:井上さんはインターネットに携わる様々な人に対して取材を行なっていらっしゃいます。まあ、あの、“祀り”に集まる人達が非常に高揚感をもって楽しんでいると、よく分かるんですけれども、一方で攻撃を受けた側の人達は大きな衝撃を受けている。このギャップに非常に驚くんですけれどもね。
井上トシユキ:そうですね。あの、“祭り”を起こしている、まあ、インターネットユーザー、おそらく、これはですね、もう、自分達は世直し一揆をしているのであると、或いは、その、悪い奴を炙り出す探偵ごっこをやっている。そういう形に近いと思うんですね。で、そういった単純化された括弧付きの「正義」で、まあ、自分達が正しいことをやっているのだということですから、あまりその対象となっている人達の気持ちとか、そういうところまでは、まあ、気が回らないところだと思います。
野村優夫:「正義」の中身は何でもいいわけですか。
井上トシユキ:そうですね。むしろ、「正義」というのは単純化されていれば、シンプルであればある程いいわけですね。先程も出てましたけれども、悪い奴がいた。じゃあ、悪い奴を何故断罪してくれないんだ、こいつは悪いとはっきり言って欲しい、言わないんだったら俺達が言うぞ、という風な部分があると思います。
野村優夫:今、高揚感とかって話が出てましたけれども、何故それだけネットにね、そういうもの求めていくのでしょうか。
井上トシユキ:おそらくですけれども、あの、今現実の社会の中でですね、そこまで皆で一体化出来る場がというものが、もう無くなってしまっていると。まあ、学校でもそうではない。或いは、その、地域でもそうではない、と。ところが、幻想だと思っていた、仮想だと思っていたインターネットの中に、もう非常な手ごたえをもって皆と一体化出来る場があったというところに、皆惹かれてるのではないでしょうか。
野村優夫:そのネットの中では、その、与えられたミッション、使命もはっきりしているし、役割も随分しっかりしているようでしたね。
井上トシユキ:そうですね。むしろ、自分で買って出るというところがありますよね。皆がその、じゃあどういう奴なんだ、どういう顔をしているんだ、どこに勤めているんだ、じゃあ、僕が調べてやるよ。まあ、これは本当に悪を炙り出す、まさにもう助さん角さんみたいなもんですよね。
野村優夫:はい。その対象となる、攻撃する対象っていうのは、マスメディアとか識者の人達も、その、え、そういった対象になり得るということですね、最近では。
井上トシユキ:そうですね。そうですね。それはその、自分達が「これが悪だ」と思っている人達に対して、或いは、悪だと思っている出来事に対して、何故、マスコミとか識者は断罪しないのであるか、と。それをおそらく何かにどっかに捻じ曲げて伝えているか、隠していることがあるからだ、と。でも、インターネットの中には、真実があるんだよということで、インターネットを見ていくと、いや、マスコミが書いてないけど本当はこうなんだ、と。その、それが本当かどうなのか分からないですけれども、そういった情報が沢山あるとなると、じゃあ、我々が正義であるということで、どんどん、こう盛り上がっていくんじゃないでしょうか。
野村優夫:マスコミの報道は、もう既に偏向していると思っているということですか。
井上トシユキ:まあ、そういう思い込みがあるんでしょうね。何某かマスコミは我々に隠していることがあるのではないか、と。
野村優夫:マスコミが書いてない、実はこういうことなんだというのが、感情のフックになっていくということ…。
井上トシユキ:どんどん、そこがもう、引っ掛かっていくんでしょうね。で、それが次の新たな言説を生んでいって、ああ、だからこそマスコミは嘘をついているんだという風に思ってしまって、「マスゴミ」と言ったりするということに繋がっていると思います。
野村優夫:「マスゴミ」ですか。
井上トシユキ:はい。
野村優夫:まあ、ここまで見てきたようにですね、ネットの“祭り”というのは、ある特定の意見へ痛烈な攻撃を加えて、封印をしてしまうという場合もあります。で、その一方で、自分達の主張を世の中に浸透させていく、特にその時に“祭り”が大切な、大きな力を持つ場合もあるんです。
【VTR:なぜこの本が売れたのか】
ナレーション:漫画『嫌韓流』。主人公のある高校生が、日本と韓国の歴史認識や文化の違いについて考え、日本が正しくて韓国が間違っていると主張していく物語です。65万部を超える大ヒットとなりました。しかし、出版に漕ぎ着けるのは容易ではなかったといいます。著者の山野車輪さんは、原稿を9つの出版社に持ち込みましたが、断られました。
マンガ家 山野車輪さん:韓国をこんなに悪く書いてどういうつもりだとか、または、こういうことを載せて、本には載せられないとか。関わりたくないと思ったんじゃないですかね。あからさまに嫌な顔してみる編集者もいましたからね。
ナレーション:出版を諦めかけていた山野さんは、ネット上で公開します。すると、ある出版社から声がかかりました。出版を持ちかけた編集者・丹下晃秀さんです。丹下さんは、ネット上で韓国を嫌う書き込みが盛り上がっていることに目を付け、彼らの心を上手く掴めば、10万部は売れると考えました。キャッチコピーは、出版拒否された問題作。マスコミが取り上げなかったタブーであることを強調して、心をくすぐる作戦です。
出版社 編集担当 丹下晃秀さん:先ず、その口コミで広がっていかなければ、この本の成功は無いなとは思っていましたので。ネットでの口コミを利用したいとは、かなり早い段階から考えていました。
ナレーション:発売日の2週間前、ネット上で動きがありました。日本最大の掲示板サイトに『嫌韓流』の発売が紹介されたのです。ネットだけで許されていた自分達の主張が初めて世に出る。出版を心待ちにする声が殺到します。書き込みは1,000を超え、“『嫌韓流』祭り”が始まりました。その中で、この本をインターネット書店の売り上げランキング1位にしようという声が上がります。賛同する書き込みをする人が、次々に現われました。この“祭り”に参加していた新井禎雄さんです。新井さんは、この掲示板とは別に、自分の意見をネット上で公開するブログを持っています。新井さんのブログには1万人の読者がいます。ここでこの本を推薦しました。新井さんは他のブログ仲間にもこの本のことを伝えました。仲間がブログに書き込むことで、効果的に情報が広がっていったのです。
新井禎雄さん:情報がばあっと一気に広がっていくんですよ。雪だるま式というか鼠算式に。まあ、個人のウェブサイトが幾つか集まって、そこに何十万人っていう読者の力が加わって、それが1つに、1つのベクトルを向いた時に、まあ、すごい力が出ることはありますよ。
ナレーション:インターネット書店では注文が殺到。あっという間にランキング1位に躍り出ました。
出版社 編集担当 丹下晃秀さん:アマゾン1位になるっていうことは、色んな、その、媒体で、あの、売れている本として紹介されることとイコールですから、それはかなり嬉しいことですね。ベストセラーになったこの本は、今では一般の書店で平積みされています。ネットで起こった“祭り”が、出版社が取り合わなかった本を世に出すことになったのです。
書店店長 板谷博仁さん:ちょっと別世界っていうか、別のところでの動きが、まあ、そういう、書店っていう現場に反映してくるという、時代の流れというのを感じます。
【スタジオ:広く簡単に伝わるネットの情報】
野村優夫:ある人が、その、ネットの中で書き込みをすると、一気にその方向へ流れる時もある。これ、どういう風に考えればいいのでしょう。
井上トシユキ:そうですね。あの、声が大きいといいますけれども、同じ意見が沢山あるところへですね、ネットの、その、ユーザーが動いて行き易い。あの、これ、ビジネスの面で、その「Winner Takes All」、一番大きい奴が全部取っちゃうんだよと言いますけど、そういったところが、こう、インターネットユーザーの行動の根本に結構ありますよね。
野村優夫:そういう行動原理があるとすると、ある人がある方向にその意見を持っていくということは可能ですか?
井上トシユキ:そうですね。あの、当然、そういうある人が自作自演で、如何にも「沢山の人が言っているよ」と。それをブログを使ったり、掲示板を使ったりしながら見せていく。或いは、もっと集団でですね、意図的に同じようなブログであるとか、掲示板を作っていって、ほら、こんな風に皆思ってるんですよ、という風に見せることは充分可能ですね。
野村優夫:そういったその、パターンというかケースをですね、実際に活かしているケースはあるんでしょうか。
井上トシユキ:はい、あの、既に、まあ、あの、例えば、何かのものを売りたい。まあ、「こういう化粧品が流行ってますよ」「こういう服がいいんだよ」「こういう映画が流行っているよ」という風なことをやる時にですね、その、ブログであるとか掲示板が、お金を貰っているということを隠したままですね、個人が、インターネットの個人が、自分で薦めているのだという風な形態をとってやるということはありますね。これは顔が見えないマーケティング、ステルスマーケティングという風に言いますけれども、もう既にそういうことが出て来ています。
野村優夫:今の場合は商品でしたけれども、例えば、ある言説をですね、こう、誘導していくということも今後は可能になってくるとお考えですか?
井上トシユキ:そうですね。あの、例えばですね、今、インターネットを選挙の広報であるとか、ゆくゆくはその投票にも利用しようという風なことが検討されていますけども、例えば、その選挙で、自分達の気に入らない候補がいたとなると、じゃあ、彼の言ってることは気に入らないから、あいつをその、潰してしまえ。投票の前に、まあ、そういった形で皆でその、ある種の集団的な、ヒステリックないじめをやってしまおうということも考えられますので。まあ、ある種の運用というところではですね、充分気をつけなければいけないなという風に思います。
野村優夫:そうすると、そういう危険があるとすると、それで規制の方向に流れは進んでいきますか?
井上トシユキ:そうですね。あの、規制をかけてしまえという風なことが起きてもおかしくないと思います。韓国では今月から、インターネット実名制が導入されてますけれども、まあ、日本でももっときつい形でですね、何か法的に刑罰を加えるよ、といったことが起こりえないとは限りませんので、その辺はユーザーがよくよく心得て、考えて使っていかないと健全に育たないと思います。<※7>
野村優夫:そのネットの中だけじゃなくて、その自分達の言説が実際の世界にも影響を与えていくんだという、何かその辺のモラルが大事だということなんでしょうかね。
井上トシユキ:そうですね。あの、自分達が言いたいことは堂々と言えばいい訳ですけれども、そこのところでやんちゃが過ぎてしまうと、当然お灸が据えられるよ、という風なことはちゃんと分かっておかないと駄目ですよね、はい。
野村優夫:ありがとうございました。え、ジャーナリストの井上トシユキさんでした。今日はインターネット上で繰り広げられます“祭り”について考えました。特報首都圏、今日はこれで失礼します。
以下、当方による注釈+感想。
※1 光市母子殺害事件の差し戻し控訴審とネット世論については下記参照。
(2007年05月25日)痛いニュース(ノ∀`):光市母子殺害事件 弁護側「死姦は蘇生行為」と主張
(2007年06月19日)痛いニュース(ノ∀`):【光市・母子惨殺】 「生き返らすために死姦」など発言の弁護士らに、ネットでの懲戒請求相次ぐ→弁護士508人が中止を求め緊急アピール
※2 温泉施設爆発事故とネット世論については下記参照。総連犯行説はレス91。でも、「書き込みは徐々に敵意を帯びていきます。」というほど、この説が盛り上がったという記憶は無いが…。
(2007年06月19日)痛いニュース(ノ∀`)渋谷区松濤の女性専用スパ施設別館で大規模な爆発 女性従業員3人死亡
※3 社会貢献の例としては湘南ゴミ掃除OFFや広島折り鶴14万羽プロジェクトなど。他には下記のニュースも社会貢献にあたる?
(2006年09月19日)痛いニュース(ノ∀`)2ちゃんねるから匿名支援 中1女子柔道部員がリンチで意識不明事件で
※4 座談会参加者6人の区別がつかないので読み手で判断して下さい。それにしても、“祭り”や“炎上”への参加を、子供時代に見たアニメや特撮の影響のせいにするってどうよ?
※5 2007年5月27日放送のフジテレビ『新報道プレミアA』にて、21人弁護士の実名と顔写真が公表され、これを基にウェブ検索で調べたものと思われる。テレビメディアで報じられた情報を基にしているので、「一般の人では殆ど入手が難しい情報」とまではいえない。弁護士懲戒請求制度については、2007年5月27日放送の読売テレビ『たかじんのそこまで言って委員会』での言及が最初と思われる。ネット上の懲戒請求運動は、マスメディアの煽情的報道の上に成り立っているのではないか。
※6 ネット上に出回っている懲戒請求書は杜撰な内容であり、これに基づいて懲戒請求をするのは危険。
※7 韓国のインターネット実名制とは「制限的本人確認制度」のこと。2007年6月28日から大手サイト「NAVER」と「Daum」で早期施行され、7月27日までに他33事業者に順次適用される。下記参照。
(2007年06月28日)All About:[韓国ネットビジネス事情]発言に責任を持たせるための法、施行される
※7月8日22時20分頃、タイトルを訂正しました。
訂正前:NHK 特報首都圏『ネットの“祭”が暴走する』テキスト起こし
訂正後:NHK 特報首都圏『ネットの“祭り”が暴走する』テキスト起こし