2007年05月31日

クローズアップ現代『脱北者1万人時代 〜苦悩する韓国社会〜』

 5月29日放送のNHK『クローズアップ現代Wikipedia)』をテキスト起こししました。動画は『檀君 WHO's WHO』さんでダウンロードできます。誤字脱字、間違いなどありましたら、御指摘よろしくお願い致します。確認の上、訂正致します。出演者の敬称はVTR内で記されているもの以外は省略します。
クローズアップ現代(番組HPより)

5月29日(火)放送
脱北者1万人時代
〜苦悩する韓国社会〜

 北朝鮮を脱出し、韓国に渡ってきた「脱北者」が2月に累積1万人を突破した。南北統一時の架け橋になるという期待から当初は大事にされてきた脱北者だが、今は町で出会うことも珍しくなくなった。これに伴い、まったく違う社会体制で暮らして身に付いた脱北者の習慣や生活スタイルが韓国社会で摩擦を生んでいる。政府などの支援金に頼って真面目に働かない、平気で嘘をつく・・。脱北者と韓国人との間の溝は広がる一方だ。こうした状況を変えようと、政府や自治体は今年になってこれまでの支援政策を大胆に見直した。増え続ける脱北者が韓国社会の中で大きな問題になりつつある現状と南北統一のハードルの高さを浮き彫りにする。
(NO.2417)

中継出演(ソウルより):イ・グムスンさん(統一研究院主任研究員)
スタジオ出演:青木 良行(NHKソウル支局・記者)
2007年5月29日 クローズアップ現代

【スタジオ】

国谷裕子:こんばんは、クローズアップ現代です。今、韓国社会では年々増え続けている脱北者との摩擦が大きな問題になりつつあります。


【VTR】

ナレーション:南北統一の架け橋になるとして、かつて、韓国社会に温かく迎えられた脱北者。2000年頃から入国する脱北者が急増し、今年2月、ついに累積1万人を超えました。全く異なる社会体制が生んだ考え方の違いからトラブルが頻発。市民の不満が高まっています。

市民(字幕):脱北者は感謝という言葉を知らない。

ナレーション:政府も決定的な対策を打てずにいます。

統一省担当者(字幕):1万人でも問題が起きている。(将来が)心配です。

ナレーション:1万人の脱北者とどう向き合うべきか、苦悩する韓国社会の姿です。


脱北者1万人時代 〜苦悩する韓国社会〜


【スタジオ】

国谷裕子:同じ民族で同じ言葉を話し、そして元々同じ文化を持っていました韓国と北朝鮮の人々。しかし、今日ご覧頂きます、体制の違う国で育った北朝鮮の人々の受け入れに苦慮している韓国の姿は、今や互いを理解するのが難しくなっている現実を浮き彫りにしています。

 (スタジオ内のモニターを指し示して)こちらは韓国が受け入れてきた脱北者の数です。

close_up_gendai_20070529_1.jpg

 かつて、年間10人に満たず、韓国社会は積極的に脱北者を迎え入れてきました。その後、急増し、2002年、1000人を突破。そして去年、受け入れた数は2,019人にのぼり、今年2月、累積で脱北者は1万人を超えたのです。かつて、食糧危機を逃れるために脱出してくる人々が多かったんですけども、現在ではより良い生活を求め、子供からお年寄りまで家族単位で脱出する人が増えています。去年、脱北者の7割を超える人が女性だったのが大きな特徴です。

 韓国政府は脱北者を社会に定着させ、そして自立できるよう様々な、手厚い支援を行なっているんですけども、自立できる人は少なく、また、韓国社会の偏見もあって、社会の南北共生が進んでいないのが現状です。脱北者1万人時代を迎えた韓国。統一を悲願としてきましたけれども、韓国社会では早くも統一がもたらすであろう大きな課題を実感し始めています。


【VTR:脱北者1万人 韓国の苦悩】

ナレーション:脱北者が多く暮らすソウルの団地です。脱北者が大声で話していたのを住民が注意したところ、言い争いになり、警察を呼ぶ騒ぎになりました。

[声]地元住民(字幕):うるさくて寝られなかったので静かにしてくれと言いました。

脱北者(字幕):あの人は酔っていたから謝っても聞きませんでした。

ナレーション:脱北者と隣り合わせに暮らすことが多くなった韓国では、些細なことでトラブルになる例が増えています。インターネットでは「北に帰れ」などとこれまでにはなかった、脱北者への厳しい非難も見られるようになりました。背景には、脱北者に対する韓国政府の支援策が手厚過ぎるという批判があります。

 例えば、広さ60平方メートル、2LDKタイプのこのアパート。1人暮らしの脱北者女性に割り当てたものです。韓国政府はまた、脱北者に無料で職業訓練を受けさせる他、新しく生活を始めるために130万円余りの支援金を支給しています。こうした支援を受けながら、きちんと職に就こうとしない脱北者の姿に市民の不満が高まっています。

 ソウル郊外にあるこの工場では、半導体の検査を行なっています。去年の春、17人の脱北者を雇用しました。統一に向けて手助けをしたいという社長の方針からでした。会社は、脱北者がスムーズに仕事に馴染めるよう研修期間を長めにとるなどの受け入れ体制を取りました。住居は、他の従業員と同じアパートです。さらに、電化製品から鍋や皿、インスタントラーメンに至るまで用意しました。それでも韓国の仕事の仕方に馴染めないと、脱北者は1人を除き全員が辞めてしまいました。

半導体検査会社課長(男性・吹替):ようやく使えるようになったと思ったら辞めてしまって、新たに採用して使えそうになると、また辞めてしまう。こんな繰り返しでは辛いです。

ナレーション:職場の人間関係も上手くいっていませんでした。ある時、風邪をひき休んでいた脱北者に上司が薬を持って行きました。しかし、脱北者はそれが本当に風邪薬かどうかを疑い、その薬を捨ててしまいました。

半導体検査会社課長(男性・吹替):本当に残念だったし、自分が悪かったのか、相手があまりにも何も知らないからか、それとも性格の問題だからなのか、未だに判りません。

ナレーション:脱北者の支援をしてきたNGOも困惑しています。この日、一月前に会社を辞めた脱北者が、就職相談で訪ねて来ました。

NGOセジョウイ シン・ミニョ副代表(字幕):久しぶりですね。会社辞めたんですって?どうして?

脱北者(字幕):嫌になって。

NGOセジョウイ シン・ミニョ副代表(字幕):嫌になって?

NGOセジョウイ シン・ミニョ副代表(字幕):私が何社紹介したかわかってるの?

脱北者(字幕):5社です。

ナレーション:NGO副代表のシンミニョさんは、これまで500人以上の脱北者の生活や就職の相談にのってきました。脱北者の多くは食糧難を逃れ、より良い暮らしを求めて韓国に来た人達です。それだけに、すぐに仕事を辞めてしまうことが、シンさんには理解出来ませんでした。何故、脱北者は仕事に馴染めず、人間関係を築くことが出来ないのか。シンさんは、多くの脱北者と何回も会う中で、その答えを見つけ出していきました。

NGOセジョウイ シン・ミニョ副代表:アンニョンハセヨ。

ナレーション:この脱北者(女性)は、7年前に韓国にやって来ました。国境の川を渡って北朝鮮を脱出した後、中国に潜伏し、韓国行きのチャンスを何年も待ち続けていました。

脱北者女性A(字幕):中国では住民票もなく、隠れて生活していました。公安につかまったら送還されるので毎日が不安でした。

ナレーション:脱北者の多くは、潜伏生活を送る間に人を疑う習性が染み付き、韓国に来てからもその習性が抜けないといいます。一方、この女性は、従業員とのコミュニケーションが取れなかったために、半導体の検査会社を3ヶ月で辞めました。

脱北者女性B(字幕):職場で英単語を使っていましたが、全然わかりませんでした。

ナレーション:女性はある時、同僚から「リスト(=LIST)を見ながら仕事をするように」と言われました。しかし、女性はリストという単語を知らなかったために、間違って操作し、機械が止まってしまいました。

脱北者女性B(字幕):間違って冷たくされるたびに辞めたくなりました。

ナレーション:多くの脱北者にあったシン・ミニョさんは、「同じ民族だから」という言葉だけでは埋めきれない溝が、南北の間に出来てしまっていると感じています。

NGOセジョウイ シン・ミニョ副代表(吹替):60年間、あまりにも違う社会で暮らしてきたので、北と南の人の間に絆は無くなってしまったんです。これからはゼロから絆を作り上げていかなければならないと思っています。


【スタジオ】

国谷裕子:ご覧頂きましたように、脱北者が韓国社会に定着するのは容易なことではありません。(スタジオ内のモニターを指し示して)こちらは脱北者が多く住んでいる地域で行なわれました就労状況についての調査結果です(「脱北者の定着実態と改善方法」2006年)。

close_up_gendai_20070529_2.jpg

 ご覧のように、定職に就いている人は11.8%に留まり、多くの人が政府からの支援金に頼って生活をしています。脱北者と韓国社会との摩擦の背景には、どんな要因があるのか。脱北者の韓国での生活実態の調査を行ない、支援の在り方の研究を続けていますのが、韓国統一研究員のイ・グムスンさんです。先程、インタビューしました。


【VTR:脱北者就労の課題/韓国政府の対応】

国谷裕子:イさん、今日はお忙しい中、ありがとうございます。あの、手厚い支援を受けているのに、感謝をしないとか、働かないとか、そういったそのイメージが、韓国内でもあるようなんですけども、先ず、その仕事の定着率を高めていくためには、具体的にこれからどんな施策が必要だとお思いですか。

ソウル 統一研究院主任研究員 イ・グムスンさん/[通訳:チェ・ウンジュ]:現在の韓国は、韓国で生まれ育った人々でさえ就職難に喘いでいます。そのため、問題はより複雑です。重要なのは、脱北者が韓国社会で仕事を出来るようにしていくことです。最初は望んでいるような仕事に就けないかもしれませんが、その次はより良い仕事に就き、また、技能も高めていく。このように段階的に韓国社会に入っていくのが最も望ましい姿ではないかと思っています。ただ、同じ民族であるということから、韓国政府に対する脱北者の期待が非常に大きいのです。その期待と現実のギャップが、更に問題を難しくしていると思います。

国谷裕子:その過大な期待、これ、中々、韓国としては応えきれないのではありませんか。

ソウル 統一研究院主任研究員 イ・グムスンさん:政府はこれまで脱北者に対し、一律な額の支援を行なってきました。しかし、今はその半分以上を、自立に向けて自ら努力している人々に対し加算していく、いわゆる奨励金に当てるようになりました。一つの職場に長く勤めれば、それだけ多くの奨励金を貰える仕組みです。

国谷裕子:このようなペースで脱北者の数が、このまま増え続けていきますと、韓国として本当に負担をし続けることが出来るのか。そういった懸念はありませんか。

ソウル 統一研究院主任研究員 イ・グムスンさん:はい。韓国でも脱北者の支援を、その増加に合わせて見直すべきという声があります。今、韓国統一省の予算の中でも、脱北者の定着支援は最大の割合を占めているのです。しかし、韓国としては脱北者の受け入れを拒否する訳にもいきませんし、支援も続けなければなりません。今後も脱北者の数が増え続けるとしたら、徐々に支援の規模は減らし、その一方で、彼らが韓国社会にきちんと定着出来るように、民間団体の力も借りて、地域で支えていくことが大事だと思います。


【スタジオ】

国谷裕子:イ・グムスンさんのインタビュー、また後程お聞き頂きます。摩擦が問題になってきている中で、脱北者が多く暮らしている地域では、積極的に脱北者との交流を図ろうと独自の取り組みを始める所が出てきました。


【VTR:脱北者に心の支援を】

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:ソウルにあるカヤン3洞地区です。460人余りの脱北者が暮らし、現在も毎月10人程が転入しています。この地区でも最近、脱北者と地域住民とのトラブルが相次いでいます。この地区の行政責任者を務めるイ・ジェミンさんです。住民との話し合いを続けてきたイさんは、460人余りの脱北者と住民との間に、接点が全く無いことに問題があると考え、今年の1月から脱北者を1人ずつ自治会に引き入れる活動を始めました。

行政責任者 イ・ジェミンさん(吹替):脱北者を助けるためには、国による包括的な支援策よりも、脱北者の心に直接働きかける肌理細やかな支援が必要だと思います。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:この地区に住む脱北者の1人、キム・インソクさんです。韓国に来て5年になりますが、韓国の人達から無視され続けてきたと言います。1年前に結婚した妻も、家に引き篭もりがちです。

キム・インソクさん(仮名・字幕):南の人は脱北者を普通の住民として受け入れてくれません。ですからよく衝突します。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:そんなキムさんに、役場から電話がかかってきました。自治体の活動に招きたいとの誘いでした。キムさんは思い切って、参加することにしました。この日の自治会の活動は、歩道の脇に花の苗を植えるというものでした。行政責任者のイさんは、脱北者と住民が共同作業を行なう場なら、自然と会話が始まるのではないかと期待していました。黙々と作業を続けるキムさん。そこへ20代の若い女性が近づいて来ました。

20代女性(字幕):北では男性と女性の出会いは?

キム・インソクさん(仮名・字幕):お見合い結婚が多いですね。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:しかし、自治会の中には脱北者の参加を快く思っていない人もいます。脱北者は近寄り難い存在だと考えているシン・ソヒさん。この日、キムさんとは一言も会話を交わしませんでした。シンさんは40代。反共産主義教育が最も盛んだった頃に育った世代です。

シン・ソヒさん(吹替):北といえば、乱暴で怖いことばかりすると教科書で教わりました。ですから、脱北者も凶暴なのではないかと思ってきたのです。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:交流に前向きでない住民に、心を開いてもらうにはどうすべきか。脱北者が起こしている様々な摩擦を調べたイさんは、脱北者が抱える悩みを住民達に直接訴えさせるしかないと考えました。イさんは、キムさんを自治会の会合に招きました。そして、韓国での生活で感じていることを、ありのままに語ってもらいました。

キム・インソクさん(仮名・字幕):脱北者は疎外感を感じていますし、萎縮しています。心を開いていただけませんか。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:会合の後、懇親会が開かれました。脱北者のキムさんの隣には、シンさんの姿がありました。話を聞いて、キムさんのことをもっとよく知ろうと思ったのです。

キム・インソクさん(仮名・字幕):北の人間だと言うと、器械を修理しても信頼してくれません。南の人が言うのと、私が言うのとでは違うんです。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:シンさんは更に、キムさんの妻が外に出ようともせず、塞ぎこんでいることも知りました。

シン・ソヒさん(字幕):奥さんも連れて来なさいよ。そうすれば友達になれるでしょ。

シン・ソヒさん(字幕):脱北者と直接話してみて、だんだん違和感がなくなりました。

報告 NHKソウル支局記者 青木良行:現在、自治会の活動に参加する脱北者は、460人中まだ10人余り。取り組みは始まったばかりです。

行政責任者 イ・ジェミンさん(吹替):この地域社会が1つの共同体を作り、住民達が正しい考えや認識を持つまで続けなければならないと思います。


【スタジオ】

国谷裕子:地域住民と、そして、脱北者との積極的な交流の試みですけども、しかし、こうした試みを行なっている所は、まだ殆どないということなんです。脱北者と韓国社会の人々の共生に向けて、何が求められているのか。再び、南北統一研究院のイ・グムスンさんへのインタビュー、お聞き頂きます。


【VTR:韓国社会の課題/南北統一のハードル】

国谷裕子:あの、北朝鮮から来られた方の、その精神的なストレス、不安や不信感に対して、その、韓国社会の理解というのが充分あるという風に思ってらっしゃいますか。

ソウル 統一研究院主任研究員 イ・グムスンさん:韓国の市民が脱北者に接する機会は、実際には非常に少ないのです。脱北者については、殆どの人が、マスコミが伝える範囲でしか知りません。しかし、マスコミは事件や事故が起きた場合にしか脱北者を取り上げないので、悪いイメージが定着してしまいます。また、脱北者を一人の人間として見るのではなく、北朝鮮の政権と結び付けて評価する傾向も見られます。“変な体制の国から来た人達”と見てしまうので、そのイメージは中々改善されません。一個人としての考え方や価値観についても“社会主義の国で暮らして来たから自分達とは分かり合えるはずがない”という風に決め付けています。相互理解は進まず、その溝は深まるばかりです。

国谷裕子:悲願の南北統一ですけれども、あの、年間2,000人、1万人時代の、脱北者の存在を、実際に実感するようになってきたことで、統一に向けた、将来の課題というのが韓国では見えてきたのではありませんか。

統一研究院主任研究員 イ・グムスンさん:最も重要なことは、相手に対する敵対意識、憎しみを取り払い、和解し、そして、共に生きていこうという考えを持つことです。今や脱北者の数を抑えることは出来ません。そのためには、北朝鮮の状況が改善され、脱北する必要が無くならなければならないのです。南北が今後、どう向き合っていくのか。相手を理解するためにも、脱北者問題は大きな鍵となるはずです。統一問題に対する韓国社会の心構えという意味での、重要な試金石になるのです。

国谷裕子:イさん、今日はお忙しい中、ありがとうございました。


【スタジオ】

国谷裕子:統一研究院のイ・グムスンさんでした。スタジオには取材にあたりましたソウル支局の青木記者に来てもらっています。イさんはアンケート調査をすれば、なるだけ、その、脱北者を支援したいという声も聞かれるんですけれども、こうやってリポートを見ますと、韓国の市民、そして、その脱北者との気持ちの、何かこうギャップというのが、非常に大きいように思うんですけども、取材してどのように実感しましたか。

ソウル支局 青木良行:そうですね、先日、南北を結ぶ鉄道の試運転が、半世紀ぶりに行なわれました。その韓国では統一、民族共同のムードで盛り上がったんですね。しかし、その脱北者の受け入れにありますように、統一のコストというのを考えますと、そうそう楽観は出来ないなという現実な思いもあって、その、韓国の人々の間では複雑な思いというのが交錯してるんだと思うんです。

国谷裕子:南北統一を悲願としてきた韓国ですけども、このように脱北者が急増しますと、本音ではもう少し来るのを抑えて欲しいっていうところ、ありませんか。

ソウル支局 青木良行:そうですね。その盧武鉉政権が今、北朝鮮に対する宥和政策っていうのを進めているのは、北朝鮮への支援を通じて改革開放を促すという狙いがあるんですね。それによりまして、北朝鮮に経済的な余裕が生じて、それが結局は脱北者の減少に繋がるというものなんですね。ただ、その一方的な支援が、北朝鮮市民の生活向上に本当に繋がるのかと。その、北朝鮮の、軍事最優先の北朝鮮のことを考えますと、難しいんではないかという批判もあるんですね。韓国では今年12月に大統領選挙がありますけども、その脱北者政策が、脱北者政策がきっかけとなりまして、韓国の北朝鮮政策、これがその、改めて大きな焦点として浮上しています。

国谷裕子:韓国ではまだまだ脱北者の数が増えると見ていますか。

ソウル支局 青木良行:そうですね。ええ、今後も増えていくんだと思います。

国谷裕子:はい。脱北者が急増する中で、統一に向けた課題が、課題を実感し始めた韓国社会の今を、ソウル支局の青木記者と共にお伝えして参りました。

【25分27秒】

【6月4日5時頃追記】

 昨日、名塚さんの日記に本エントリーを取り上げて頂きました。ありがとうございました。

(2007年06月03日)あんた何様?日記:脱北者

 実は、このNHKクローズアップ現代『脱北者1万人時代 〜苦悩する韓国社会〜』(以下、本放送)をテキスト起こしするにあたり、少し迷いがありました。一年前、北朝鮮人権法案(※1)についてマイナス面を誇張して廃案へと煽っていた人達、統計の意味するところも理解せずに在日朝鮮人に関するデマを拡散させていた人達、彼らに都合良く利用されないかという危惧がありました。

 しかし、脱北者保護の政策に関して韓国は先行しており、その実態を知ることは日本の同政策を考えるにあたっても参考になります。脱北者保護に賛成の人にとっては、今後予想され得る困難な事態について把握することで、同情だけで無条件に全て受け入れようというような発想に陥らずに済みます。脱北者保護に反対の人にとっては、実数・実態を知ることで、誇張された悪質なデマに乗せられることなく、地に足のついた主張が組み立てられます(※2)。

 おそらく、本放送や一昨日の脱北者報道(※3)に接すると、誰しも多かれ少なかれ不安に感じるのだと思います。不安に感じたこと自体は各人の率直な感想ですから、それを批判するものではありません。ただ、不安から即、激情に呑み込まれるのではなく、そこに含まれる問題・課題を知り、検討されれば、とは思います。漠然とした不安に呑み込まれないということが、結局は脱北者問題のみならず拉致問題への関心を深めることになるだろうと考えます。


※1 この北朝鮮人権法案については、自民党・民主党が賛成し、社民党・共産党が反対していました。ネット上の保守言論はというと、当時、私が見た限りでは、同法案について言及しているところの殆どが、この法案に反対していました。ブロガーもコメンターも(ということは、おそらくROM専の人も)、親小泉・反小泉、親米・反米を問わず、嫌韓反中系から愛国憂国系に至るまで、判で押したように同じような反応を示していました。そして、この法案について言及した民主党議員・長島昭久氏のブログが炎上するに至りました。あの一年前の狂騒、あの時、無力であったことの後悔が当blogの出発点でした。詳細はカテゴリー「北朝鮮人権法」を御覧下さい。

※2 本放送では脱北者が累計一万人を突破したとあり、不安を掻き立てられますが、一年前の北朝鮮人権法案論争を振り返ると、当時、反対論者達は毎年数万人から数十万人の脱北者が流入すると主張していました。酷いものになると、北朝鮮の全人口が二千数百万人であるにもかかわらず、一千万人が流入するとさえ煽る人もいました。そのような状況になっていれば、その時は既に金正日政権が崩壊しているだろうということさえ想像出来ない人達が、基本的な事実を確認することなく、自分達の主張こそが現実的であるが如く振舞っていました。一年前、北朝鮮人権法案に反対した人で、本エントリーを見てまた危機感“だけ”を抱いた人は、この機会に当時の自説の脱北者数についての認識を振り返ってみて頂きたく思います。という風に書くと意趣返しのように感じるかもしれませんが、情報の更新はどのような立場であっても必要なことだと思います。


【6月6日23時30分頃追記】

※3 一昨日以降の脱北者報道について、初期報道に対する某匿名巨大掲示板での反応については「痛いニュース(ノ∀`)」さんの記事を、報道されている内容については拙エントリーを御覧下さい。

(2007年06月02日)痛いニュース(ノ∀`):青森深浦港に国籍不明の不審船 北朝鮮からの脱北者か

(2007年06月05日)青森県深浦港脱北者4名漂着問題に関する報道メモ1
(2007年06月06日)青森県深浦港脱北者4名漂着問題に関する報道メモ2
posted by sok at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | テキスト起こし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。