個人的には、デマに引っかからないための心得として以下のことに気をつけている。
(1)自分のよく知らないことについては考えを保留する。
(2)煽りや誹謗中傷、差別的言辞の多いサイトは警戒する。
(3)反対の立場の意見を探してみる。
けれど、自分だって今のところデマには引っかかっていないだけで、今後引っかかる可能性はある。そこで、自戒の念も込めて過去にネット上で真贋が問題になったもののうち、保守系ブロガーが引っかかったものを列挙しておく。個々の問題について、取り上げているblogへのリンクを貼っておく。
2004年11月01日 在日の就業と生活保護の統計まとめサイト
2005年06月25日 アジアの安全な食べ物
2006年05月25日 新大久保駅転落女性救助報道
2006年06月01日 スウェーデンを不当に貶める言説
2006年06月06日 福島瑞穂の迷言
2006年06月07日 アインシュタインの予言
2006年06月08日 本田宗一郎「韓国とは関わるな」発言
2006年07月10日 盧武鉉発言「馬鹿騒ぎ」→「大騒ぎ」書き換え報道
2004年11月01日 在日の就業と生活保護の統計まとめサイト
(2004年11月01日)児童小銃:在日の生活保護の受給率は高い?
(2004年11月02日)児童小銃:在日の無職率は高い?
(2005年01月06日)児童小銃:「在日の就業と生活保護の統計まとめサイト」はデマサイト
(2006年02月03日)児童小銃:生活保護の人数は「一か月平均」を見ましょう。
これは北朝鮮人権法案反対論でも利用されていたデマ。永住外国人地方選挙権(参政権)付与に反対するメール運動というサイトには今でも載っているので、今後も在日朝鮮人批判の際に用いられると思う。民団の統計には無職者の内訳がない。就学前児童も学生も定年退職者も「無職」に含まれるので、この統計だけでは完全失業率の正確な把握はできない。
2005年06月25日 アジアの安全な食べ物
(2005年06月25日)アジアの安全な食べ物:中国の7色に輝く河川と食品
(2005年08月01日)真性引き篭もり:「アジアの安全な食べ物」という犯罪者と、それに踊らされる馬鹿。
(2005年08月01日)Over 40:「枯れた芝生に緑のペンキ」の正体はコレ
アジアの安全な食べ物というblogは、トップページに「安全な食を、お茶の間から考えてみましょう」と書いているのに「中国の7色に輝く河川と食品」という記事一つしかない。どう見ても食の安全を考えるというのは建前であって、本音は別のところにあるのだろう。
河川や大気の異常な画像、或いは「毒菜」「毒魚」「奇形食品」という項の衝撃的な画像は見る者を圧倒するが、画像だけを載せて元ソースへのリンクがない。「中国北京の緑化計画」という項では、それが種子吹き付け工法なのか緑色ペンキの散布なのか分からない。分からないうちは判断を留保しておく方がいい。他国を笑うより、自国を省みる節度の方が大切だと思う。
2006年05月25日 新大久保駅転落女性救助報道
(2006年05月27日)愛・蔵太の少し調べて書く日記:新大久保駅で人助けをした申鉉亀さんはいい人なのか悪い人なのか。あと次第に劣化していった報道の内容について
(2001年05月27日)deblog:5年前と全く変わっていないマスコミの『美談ねつ造』体質
(2001年01月29日)deblog:線路に落ちた酔客を助けようとして電車にはねられた二人は「英雄」なのか?
反メディア感情によって、助けに行った在日韓国人男性に悪意を向けるのは筋違い。重要なことは、前回の新大久保駅救出劇の際は、結局、転落した酔っ払い男性は助からず、救助しに行った男性達と併せて3人とも死亡したということ。日韓友好の美談の前に、基本的な事実の確認がメディアには必要。あと、美談にするなら亡くなった日本人のことも報道して欲しい。
2006年06月01日 スウェーデンを不当に貶める言説
(2006年06月01日)成城トランスカレッジ!:スウェーデンをディスるコピペに対する疑問。
(2006年06月01日)Imaginary Lines:スウェーデンの犯罪率
(2006年06月01日)sociologically@はてな:スウェーデンの結婚と離婚
(2006年06月03日)sociologically@はてな:スウェーデンにおけるレイプ犯罪
スイス、コスタリカと並んで平和そうなイメージが先行するスウェーデン。それに対する反論が出てくるのは当然としても、懐疑が過ぎて統計を見誤って不当に貶めるとなると、それは不当に持ち上げているのとベクトルが違うだけで同じこと。
2006年06月06日 福島瑞穂の迷言
(2006年06月06日)成城トランスカレッジ!:「福島瑞穂の迷言」という都市伝説について(事務所コメント付)
(2006年06月06日)愛・蔵太の少し調べて書く日記:福島瑞穂さんだろうと誰だろうと、右も左も関係ない、ネットで流れている情報を信じるな。ぼくの言うことも信じるな(あれ?)
(2006年06月07日)児童小銃:瑞穂タンの件
(2006年06月08日)児童小銃:瑞穂コピペ
(2006年06月08日)成城トランスカレッジ!:福島瑞穂コピペ検証、暫定まとめ。
(2006年06月10日)usbmouseブログ:福島瑞穂の発言の件(2)(キャッシュ)
(2006年06月11日)児童小銃:瑞穂発言発見か?? (未確認情報)
(2006年06月12日)児童小銃:瑞穂発言発見!!?? (ついに確認)
(2006年06月12日)usbmouseブログ:発言の確認完了(キャッシュ)
(2007年07月14日)荻上式BLOG:続・「福島瑞穂の迷言」というコピペについて
「福島瑞穂の迷言コピペ」に関しては結構出回っているようで、私も何回か見た。福島瑞穂氏なら言いそうという印象だけで判断するのは失礼であり、ソースが見つかるまでは、こういうコピペは引用すべきではない。これに対して「李下に冠を整さず」と反論される方もいるかもしれないが、その言葉は自省に使うべきで、
2006年06月07日 アインシュタインの予言
(2006年06月07日)朝日:ネットで流行「アインシュタインの予言」、人違い?
(2005年12月20日)玄倉川の岸辺:「アインシュタインの予言」
(2006年06月07日)玄倉川の岸辺:ネットで流行していない「アインシュタインの予言」
(2006年06月09日)玄倉川の岸辺:朝日がネットに広めた「アインシュタインの予言」
(2006年06月09日)「アインシュタインの予言」について検証するブログ
Wikipedia:アインシュタインの予言
(2005年02月28日)中澤英雄東大教授:アルベルト・アインシュタインと日本
(2005年06月26日)中澤英雄東大教授:アインシュタインと日本 Part 2
(2005年11月09日)中澤英雄東大教授:アインシュタインと日本 Part 3
2006年6月7日付の朝日記事(期限切れ)は、東京大学の中澤英雄教授の主張に拠っている。ネット上や一部の書籍に「アインシュタインの予言」というアインシュタイン博士が日本を絶賛したとされる文章が流布している。しかし、これは博士とは無関係なローレンツ・フォン・シュタインというドイツの法学者(明治憲法成立にも大きな影響を与えたとされる法学者)の言葉が変容したものである。遡れば「八紘一宇」の提案者である宗教家・田中智学氏の『日本とは如何なる国ぞ』という著書に「予言」と似た文書が登場する。けれど、シュタインの講義録などに当たってみても該当する文章が見当たらない。結局、シュタインの言葉も起源ではなく、田中智学氏が自らの思想をシュタインに寄せて語った文章の可能性が高い。以上が朝日記事における中澤英雄教授の主張の要旨。
朝日記事にはその他、昨年、ごま書房から刊行された『世界の偉人たちが贈る日本賛辞の至言33撰』から、アインシュタイン博士の言葉とされるものが引用されている。その後、アインシュタイン研究者である板垣良一・東海大教授(物理学史)の話を載せている。板垣教授によればアインシュタイン博士は「神」にこだわらない人物で、博士の日記や文献にも天皇制について述べた記録はない、とのこと。
2006年06月08日 本田宗一郎「韓国とは関わるな」発言
(2006年06月08日)rocketdolphinの日記:本田宗一郎のこの発言は何の本に載ってるんだ?
(2006年06月10日)愛・蔵太の少し調べて書く日記:今のブームは「マスコミの報道検証」じゃなくて「ネットの情報検証」らしいですが。あと本田宗一郎さんの韓国に関する発言など
(2006年06月10日)rocketdolphinの日記:本田宗一郎氏の「韓国とは関わるな」発言の元ネタ
(2006年06月11日)rocketdolphinの日記:本田宗一郎氏の発言の背景
本田宗一郎氏が「韓国とは関わるな」と発言したという話自体知らなかったので、特に何の印象もない。今のところ本田氏が言ったとされる発言は『アジア共円圏の時代』という本の中での邱永漢氏の伝聞でしかないとのこと。
2006年07月10日 盧武鉉発言「馬鹿騒ぎ」→「大騒ぎ」書き換え報道
(2006年07月10日)usbmouseブログ:「馬鹿騒ぎ」を「大騒ぎ」と“誤訳”する日本メディアの“思いやり”
(2006年07月11日)yadanbeopseokの日記:야단법석って侮蔑表現なのか?
(2006年07月11日)好奇心と怠惰の間:これだから日本のメディアは、と言う前に
(2006年07月13日)愛・蔵太の少し調べて書く日記:ばか騒ぎだか大騒ぎだか知らないけど、福島瑞穂嘘ビデオ事件の人が情報元というのがどうも
(2006年07月13日)usbmouseブログ:アクセス頂いたすべての皆さんにお礼の言葉を申し上げます
(2006年07月13日)愛・蔵太の少し調べて書く日記:釣り宣言が出たので「ばか騒ぎ」は終了、ということで
福島瑞穂氏の迷言を巡るコピペ真贋問題の顛末を知っていた人、憶えていた人は引っかからなかったかもしれないが、それを知らなくても引っかかっていない人がいる事実が重要だと思う。嫌韓と反メディアによる先入観が引き起こした悪例。とはいえ、その土壌には、先日のTBSによるハイド米国下院議員発言「誤訳」問題への不信感があったと思う。また、盧武鉉大統領の日頃の反日姿勢への反発もあっただろう。
参考
(2006年07月05日)mumurブルログ:ニュース23で嘘翻訳発覚 「参拝をやめろと言うわけじゃないが・・・」 → 「参拝をやめるべきだと強く思います」
(2006年07月16日)きょうのこりあ:北ミサイルに対する韓国の反応まとめ
【9月3日追記】
8月26日に、はてなブックマークにて取り上げて頂きました。その後、成城トランスカレッジ!さん、kmizusawaの日記さん、愛・蔵太の少し調べて書く日記さん、RinRin王国さん、冬枯れの街さん、クローン人間現るッッッ!!の巻きさん、満目蕭条さん、あんた何様?日記さんに取り上げて頂きました。ありがとうございました。
本日記が保守系に限定している点について、はてなブックマークのコメントで幾つか言及があったので、蛇足かもしれませんが、以下の日記で補足しておきました。私の中では、保革対立的発想は以前に較べてかなり少なくなりましたが、依然として存在します。そのため自身への戒めとして纏めたのが本日記です。しかし、その趣旨自体は保革に関係なく通用します。本日記を読まれる方まで、私の中に残る保革対立的発想に付き合う必要はありません。ネット上の情報に接する際の留意点くらいに受け止めて頂ければ幸いです。
(2006年08月31日)拙日記「ネット言論とメディアリテラシー」について
http://d.hatena.ne.jp/Sampo/20050807
『アジアの安全な食べ物』に関しては、直感的に「これは変だな」と思ったのですが、リンク先の日記のように一つ一つに反論している方もいるのですね。個々のネガティヴな情報を正確なアナウンスも無く結び付ける人達に対抗するのは大変な作業だと思います。種子吹き付け工以外についても調べる手掛かりになりました。ありがとうございました。
30日づけの読売にも中国政府の対策としての発表の記事がのっていました。
「タイトル:危ない!3億人の水」
曰く、一人あたりの水資源が世界平均の1/3で(ゴビ砂漠とかありますものねぇ)で、元々少ないところなのに7割が汚染されてて、都市部にいたっては9割が汚染されてる水を飲んでいるそうです。
実際、何回も上海に出かけてますが、世界で飲んだ水の中で最高にマズいです!
いや、マズいっていうより、ヤバい。
これ呑んだらなにか危ない気がする!っていうレベルの味です。
ちなみに、なにが危ないって煮沸後でもヤバい味がするので、基本的になにかが溶けてるケミカルな味がするのです。(泥臭いとかそういうレベルの味じゃない。)
てな訳で、そのサイトは検証なしなのかもしれませんが、実際に中国の水のヤバさは中国自体も非常に問題視されているし、実際行って呑んでヤバさも体感してるので、左程外れてもいないと思いますよ。
ワタシャ、将来あれを呑み続けた人がどうなってしまうのか、本気ですごく心配ですよ。
>中国自体も非常に問題視されているし、
>中国政府自体も非常に問題を認識しているし
福島さんが、銃使用を認めない旨、朝生で発言したのはデマではなく本当ですよ。自分はそれを生で見ましたもの。田原さんとのやりとりは、ネットに出回っているのとだいたい同じだったと記憶します。福島さんの事務所も明確に否定してないでしょ。否定できるわけないですよ。本当に言ってたんだもの。まーもう終わってる政党なのでどうでもいいですが。
私も福島さんの警官は銃を使うな発言は朝生でライブで見ました。
都合の悪いことを封殺する社民党には呆れるばかりです。
解党して欲しいです。
福島さんの発言ですが、私もテレビで見ていました。
警官より犯罪者の命の方が大事なんかい!ってツッコミを入れたのを覚えています。
この発言がネット上で話題になっていた事は今日初めて知りましたので、
記憶の改ざんはないと思います。
善意に解釈するとしたら本当に言った事を忘れてしまったのではないでしょうか?
本文では、在日や中国や韓国や中立国や左派議員や親日言説を、個々の事例として列挙しましたが、その個々の事例自体を論じることが目的ではありません。中国の環境問題を軽視することを意図しているわけではありません。「そのサイトは検証なしなのかもしれませんが」という部分をこそ問題にしています。中国の環境問題が実際にどうであるかと『アジアの安全な食べ物』というblogの内容がどのような情報を根拠にしているのかは別問題です。
それと、御指摘の「30日付の読売新聞記事」に関してですが、現在検索した限りでは、その「危ない!3億人の水」という題名の読売新聞記事は見当たりませんでした。検索の仕方が悪いのか、見つけられませんでした。拙日記の趣旨を踏まえた上で、中国の環境問題について御指摘して下さる場合、新聞社名と記事名と日付に加えて、該当する記事へのリンクも貼って頂けるとありがたいです。中国の環境問題を論じるのであれば、『アジアの安全な食べ物』のような手法ではなく、例えば、以下のようにリンクを提示するという手法が妥当であると思います。
(2006年08月03日)中国情報局:環境保護総局 中国の二酸化硫黄排出量は世界最悪
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0803&f=national_0803_002.shtml
(2006年08月31日)中国情報局:北京 500人が集団下痢、公衆トイレに長蛇の列
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0831&f=national_0831_004.shtml
1.『朝まで生テレビ』
2.福島瑞穂出演の回
3.田原総一郎氏とのやりとり
4.警察官の拳銃使用に話が波及するような話題
そこまで分かっているのであれば、YouTubeに該当箇所がupされてもよさそうなものです。動画がupされていない現時点においては、ソースが見つかるまでは、その「迷言」「妄言」を無闇に持ち出すべきではなく、静観しておくのが賢明です。挙証責任は「あった」と主張する側が行うべきですから。
拙日記の趣旨は「ネット上の情報とどう向き合うべきか」という点にあります。福島瑞穂議員の政治信条に同意するか否かと本件とは別問題であり、真贋不明な情報に対しては態度を保留しつつ、かつ、日頃の福島議員の政治信条に同意しないということは両立可能であると思います。
朝生を録画で見る習慣がありませんので…ソースの提供は無理ですね。
ひとつ気になった点
“真贋不明な情報に対しては態度を保留”=“デマと断定”は少し違うような気がします。
「私は生で見たよ」という声があった事も参考程度に覚えておいていただければと思います。
>“真贋不明な情報に対しては態度を保留”=“デマと断定”は少し違うような気がします。
確かに、その点は少し違いますね。本文の福島議員に関する該当部分「自分がデマに乗せられた上で」は「自分が真贋不明な情報に乗せられた上で」に変更しておきます。コメント欄でのやりとりが意味不明にならないように、元の表現は訂正線で消す形式にします。御指摘ありがとうございました。
http://www.youtube.com/watch?v=NkACfSCFkoY
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20070714/p1
福島議員のコピペについて、その後の検証が『荻上式BLOG』さん(旧『成城トランスカレッジ』さん)にて紹介されています。警察官の拳銃使用について慎重であるべきと考える福島議員の見解と、コピペの「例え凶器を持った凶悪犯と言えども警察官は丸腰で逮捕に向かうべき」の間には大きな隔たりがあります。やはり現時点では、あのコピペを真に受けるのは危険ですね。