2007年09月24日

光市母子殺害事件裁判の弁護人批判について

 これは私信エントリーです。当ブログは私信が多く、何の話か分からない閲覧者の方には申し訳なく思いますが、そういうものと割り切ってお付き合い下さい。


【目次】
1.光市事件は単純な事件なのか
2.被告人について汲むべき事情
3.弁護団の主張変更と説明責任について
4.被告人が「友人」に宛てた手紙について
5.訴訟遅延について
6.絞殺状況を示す図画の頒布について
7.「なめないでいただきたい」発言について
8.今枝仁弁護士の涙と弁護団のテレビ出演について
9.何故、弁護団批判者が批判されるのか
10.批判者の不法は懲戒請求が初めてではない
11.弁護団は本件裁判を死刑廃止論に利用してはいない
   →最終弁論での死刑回避の可能性について(10月8日22時10分頃追記)
12.死刑・厳罰化論の前提について
13.二つの人権を巡るすれ違い(10月5日22時30分頃加筆)
14.犯罪被害者支援について(10月5日22時30分頃加筆)
15.終わりに

【追記】
16.費用と利益で考える刑事弁護(同日22時00分頃追記) 
   →マイナス方向のインセンティブについて(27日22時40分頃追記)
17.対話によって得られたこと(27日22時40分頃追記)


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posted by sok at 19:00| Comment(15) | TrackBack(3) | 光市母子殺害事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月22日

弁護団と批判者のすれ違い

 一昨日、光市母子殺害事件の差戻控訴審の第10回公判が終了しました。弁護団が橋下弁護士を提訴して以降、この事件の報道も抑制的になってきましたが、それでも断片的な情報が氾濫しています。被告人の発言が文脈を抜きに伝播し、ネット上に憎悪の感情が喚起・連鎖していく状況は依然として続いています。例えば、今回の集中審理を伝えるものでは、以下の文章とそれへの反応が象徴的でした。

(2007年09月21日)痛いニュース(ノ∀`):【光市母子惨殺】 元少年「生きたい」「検察、僕をなめないでいただきたい」…弁護団、涙で「こんなに胸を張って弁護できたことはない」
メモをとりながら表情を変えずに遺族の陳述を聞いた元少年。その直後の被告人質問では、憮然とした態度でこう証言しました。

「今以上の苦しみは実生活において容易に想定できます。それを踏まえてでも生きたい。僕のほうから検察官に言わせていただければ、なめないでいただきたい」(元少年)

(中略)

「この裁判の弁護ほど胸を張って弁護できたことは今までありませんでした」(元少年の弁護団 今村 仁 弁護士)

※弁護人の名前は、正しくは今村仁ではなく今枝仁です。

 唐突に何を言いだすのか、被告人はやはり反省していないではないか、これだけ見るとそう感じるのも仕方ありません。しかし、何故、彼が検察官にこのような言葉を吐いたのか、その文脈がよく分かりません。そこで、弁護人である今枝弁護士のブログを覗いてみます。

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posted by sok at 01:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 光市母子殺害事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月19日

クローズアップ現代『“いつまで待つのか” 〜拉致家族 5年目の夏〜』

 9月18日放送のNHK『クローズアップ現代Wikipedia)』をテキスト起こししました。誤字脱字、間違いなどありましたら、御指摘よろしくお願い致します。確認の上、訂正致します。出演者の敬称はVTR内で記されているもの以外は省略します。
クローズアップ現代(番組HPより)

9月18日(火)放送
“いつまで待つのか”
〜拉致家族 5年目の夏〜

北朝鮮が「拉致」を認めた日朝首脳会談から5年。北朝鮮に"死亡"とされた拉致被害者の安否は、いまも分からない状況が続いている。この夏、「核問題」をめぐってアメリカと北朝鮮が接近する中で、被害者の家族たちは拉致問題の先行きに懸念を強めていた。そして今月初めに行われた日本と北朝鮮の外交交渉。両国は協議を継続していくことで合意したものの拉致問題に具体的な進展はなく、家族たちの期待はまたも裏切られる結果となった。国際政治の動向に翻弄されながら焦燥感を強める被害者家族の今を見つめる。
(NO.2464)

スタジオゲスト:中山 恭子さん(拉致問題担当首相補佐官)
スタジオ出演:今西 章(NHK・社会部記者)
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posted by sok at 18:00| Comment(0) | TrackBack(1) | テキスト起こし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月12日

橋下弁護士の主張する“世間への説明責任”はネット上の“世間”に正確に伝わっていたか

 先日の日記『橋下弁護士が提訴された件について』に、RMさんから次のような疑問を頂きました。
「視聴者(の全部または大部分)には伝わっていません」と断定する根拠は無いと思います。現に一視聴者である私には十分に伝わりましたから。正しくは、「少なくとも自分(=sok)には伝わっていません」と言うべきではないでしょうか。

 5月27日の『たかじんのそこまで言って委員会』での橋下弁護士の当初の説明は、正しく一般人に伝わっていたか。この点について少し検討してみます。

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posted by sok at 07:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 光市母子殺害事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月09日

橋下弁護士が提訴された件について

 『刑事弁護人の懲戒請求について』というエントリーに院生さんからコメントを頂きました。返事を書いているうちに少し長文になりましたので、新エントリーとして公開します。併せて、ネット上で散見される弁護団批判への感想も書いておきます。(※本文末尾に今枝仁弁護士のブログへのリンクを追記


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posted by sok at 13:30| Comment(11) | TrackBack(1) | 光市母子殺害事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

クローズアップ現代『もう刑務所には戻さない 〜動き出す知的障害者支援〜』

 9月4日放送のNHK『クローズアップ現代Wikipedia)』をテキスト起こししました。誤字脱字、間違いなどありましたら、御指摘よろしくお願い致します。確認の上、訂正致します。出演者の敬称はVTR内で記されているもの以外は省略します。
クローズアップ現代(番組HPより)

9月4日(火)放送
もう刑務所には戻さない
〜動き出す知的障害者支援〜

知的な障害があるにもかかわらず、福祉の支援を受けないまま社会で孤立し、困窮の中で犯罪に走ってしまう人が少なくないことが、全国の刑務所で明らかになってきている。出所しても孤立した状況に変わりがないため、犯罪を繰り返してしまう実状も分ってきた。この春、法務省が全国15の刑務所で調査したところ、知的障害と疑われる人が400人余、調査の前まで、知的障害であると社会的に認知されてはいなく"埋もれていた人"が殆どだった。平成17年度の新規受刑者の4人に1人近くが、一般より知的レベルが低いIQ相当値が69以下、"埋もれていた人"がこの中に多く含まれているのではないかと考えられている。こうした事態を受け、法務省と厚生労働省は、刑務所を出所した知的障害者を福祉施設に紹介する新たな取り組みも試験的に始めている。どうすれば知的障害者を再び犯罪に至らせないように支援してゆけるのか。現状と新たな取り組み、その課題を検証する。
(NO.2459)

スタジオゲスト:辻川 圭乃さん(弁護士)
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posted by sok at 05:35| Comment(4) | TrackBack(1) | テキスト起こし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月01日

中日新聞のマッチポンプ記事

 先日の名古屋市千種区・闇サイト女性拉致殺害事件に関して、被害者のブログに匿名による心ない中傷があったことついて、中日新聞が記事にしています。記事は被害者のブログに中傷コメントが寄せられたことに触れた後、犯人達が偽名を用いて互いに身元を明かさずに悪意をエスカレートさせたこと、さらに違法DVDや規制薬物の販売など、違法情報や有害情報の氾濫状況や法によるネット規制にまで言及する内容です。

cyunichi


 しかし、被害者のブログの存在を検索次第で辿れるように報じたのは、当の中日新聞でした。

(2007年08月31日)ちょいmemo:中日新聞の華麗なテクニック
「ちょいmemo」さんのまとめから引用
・中日新聞が事件被害者のブログをすっぱ抜く。検索ワード満載。
・ニュー速にスレが立つ。
・バカがブログを荒らす。
・中日は記事削除。スレでの非難は>>1に集中。
・中日が「ネットは匿名による悪意のすくつだけしからん!」と記事を書く←いまここ

 自らが不用意にネット上の匿名の悪意を誘発・助長しておきながら、犯人達の接点である闇サイトと被害者ブログへの心ない中傷を匿名という一点で結び付けてネット規制を論じるというのは、あまりに卑怯な手法です。


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posted by sok at 06:14| Comment(2) | TrackBack(0) | ネットと言論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする